使用期間中の本採用拒否

試用期間中の本採用拒否

社長
当社では、試用期間を4ヶ月と定めています。今回、新卒で採用した社員の業務遂行能力が低く、本採用の拒否をしたいと考えています。本採用拒否できるのはどのような場合でしょうか?また、試用期間途中でも本採用を拒否して解雇することができるのでしょうか?本採用の拒否ができない場合、試用期間の延長をすることはできますか?
弁護士吉村雄二郎
試用期間中の雇用契約の法的性質は、解約権留保付の雇用契約であるとするのが判例の立場です(三菱樹脂本採用拒否事件・最大判昭48・12・12・労判189.16)。そして、「留保解約権に基づく解雇は,これを通常の解雇と全く同一に論ずることはできず,前者については,後者の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められ(る)」としつつ、留保解約権の行使は「解約権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的な理由が存し,社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許される」とされています(前記判例)。従って、業務遂行能力が欠けていることが客観的に明らかであり、指導・教育を何度も行ったが全く改善の余地がない等の特段の事情がない限り、新卒社員の本採用拒否は難しいと思われます。
また、試用期間は、労使間で合意された適正判定期間ですので、原則として試用期間前に留保解約権を行使することは、使用者が一方的に試用期間を短縮することになり認められません。試用期間を待つまでもない特段の事情がある場合は例外を考え得ますが、想定するのは現実的には難しいと言えるでしょう。
試用期間の延長は、労働者にとって不利益になることが多く、就業規則等に明文の定めがある場合、労働者が同意している場合、労働者の適性に明かな問題がある場合などに限りできると考えられます。
試用期間中は、解約権留保付労働契約であり、解約権の行使には合理的理由及び社会的相当性が必要となる。
本採用社員の解雇よりは比較的広い裁量があるが、慎重に行う必要がある。
試用期間前の留保解約権の行使は原則的には認められない。
試用期間の延長も就業規則等に明文の定めや労働者の同意がなければ原則として認められない。

 

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