セクハラ_懲戒事例

セクハラ行為に対していかなる懲戒処分ができるか?

  • 2021年5月23日
  • 2022年4月26日
  • 懲戒

社内でセクハラ被害が発生した場合、加害者に対して懲戒処分を課すことができるか?できるとしていかなる重さの懲戒処分ができるか?について労働問題専門の弁護士が分かりやすく解説します。

社長
当社の男性社員Yが社内で同僚女性社員Aに対し「まだ痩せてないな」などと体型を誹謗する言動や、「服装がダサい」などと身体的特徴や服装について指摘する言動を繰り返していました。当社としては、Yの言動はセクシャルハラスメントに該当するものと考えていますが、この事案でYをいかなる懲戒処分にできるでしょうか?
弁護士吉村雄二郎
発言によるセクハラが問題となった場合に,セクハラが事実なのか、被害者と加害者の言い分が食い違った場合にどちらの供述を正しいと認定するか、仮に発言があったと認められる場合、その発言がセクシュアルハラスメントに該当するかが重要となります。
身体的接触を伴いその態様が悪質であり,また,企業秩序が大きく乱されたようなケースにおいては,懲戒解雇もあり得ます。
ご相談のケースでは、Yの言動はセクハラに該当するといえますが、懲戒処分の量定としては、その内容・程度に鑑み、初犯であれば戒告・譴責程度、すでに注意・指導を受けているにもかかわらず行った場合は減給処分程度が相当であると考えます。
セクハラが懲戒処分の対象となるか否か
セクハラの事実認定について注意するポイント
セクハラ行為に対する懲戒の量定・参考データ
懲戒の進め方のポイント

1 セクハラ行為が懲戒処分の対象となるか?

職場におけるセクシャルハラスメント(セクハラ)とは,「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」であり,それに対する労働者の対応による労働者が労働条件について不利益を受けたり(対価型セクハラ),「性的な言動」により職場環境が害されることを意味します。

【男女雇用機会均等法11条1項】
事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

セクハラは,被害従業員に対して身体的又は精神的苦痛を与え,職場における具体的職務遂行能力を阻害し,企業秩序を乱す行為であることから,企業としても加害者に対して厳しい処分を行う必要があり,懲戒処分の対象となり得ます

2 懲戒処分の有効要件

懲戒処分を行うためには、一般的要件を満たす必要があります。こちらも確認す

懲戒処分の有効要件については

知っておきたい懲戒処分の有効要件

① 就業規則に懲戒規定明記
懲戒事由と懲戒処分の種類が就業規則に明記され、その就業規則が従業員に周知されていることが必要です。
参考記事
懲戒に関する就業規則の規定例
② 懲戒事由該当性
懲戒事由に該当する非違行為の事実について、関係者の事情聴取、客観的証拠等から事実が認定できることが必要です。
③ 懲戒の社会通念上相当性
懲戒処分が重すぎると無効となります。懲戒処分の種類・量刑が相当であることが必要です。
④ 懲戒処分の適正手続履践
就業規則上、賞罰委員会の開催や弁明の機会の付与が必要とされている場合は、これらの手続を履践する必要があります。

 

3 セクハラの事実認定

3.1 被害者の意向確認

セクハラ被害は,被害者からの申告によって明らかとなることが多くあります。この場合,調査等を行うのに先立ち,被害者に対し,会社にどのような対応を望むかを確認します。

また,事実確認のために加害者にも事情を聞いてもよいかの意思確認を行います。事情を加害者に開けば,被害者が申告したことが加害者に判明する可能性が高くなるところ,それを被害者が望まないこともあるからです。

ただ,加害者の言い分を聴取しない場合は,原則として加害者の懲戒処分を行うことは難しくなります。その場合は,人事異動によって,職場において被害者と加害者が接触する場面が少なくなるようにしたり,加害者の言動に対して一般的注意を行い,言動の改善を期待するといった対応にとどまることになります。

3.2 事実認定

セクハラ言動は第三者がいないところで行われることが多く,被害者と加害者以外は目撃者・事情を知る者がいない,また,客観的な証拠がない,といったことも多くあります。その為,事実認定においでは,被害者および加害者の事情聴取が大きな意味を持ちます。

しかし,たとえば,そもそも被害者が主張するセクハラ言動の存否について,両者の言い分が異なる,あるいは,性的言動や関係があったことには争いはないとしても,その言動や行為について,被害者の同意の有無が争点となることもあります。

このように被害者と加害者の言い分が異なる場合には,どちらの供述が信用できるかを見極める必要があります。供述の信用性は,客観的な裏付け証拠(メール,SNSのやりとり履歴,画像等)の有無,供述の具体性の有無,自分に都合の悪いところを「記憶にない」などと述べて誤魔化しているか否かなどを総合考慮して判断するしかありません。
懲戒処分の前提としてのセクハラ言動の有無については,最終的には会社側に立証責任(証明出来ない場合は敗訴する)があることも視野に入れて慎重に事実認定を行う必要があります。

懲戒のヒアリングについては

懲戒に関する事情聴取のポイント

4 セクハラ行為の懲戒処分の量定は?

4.1 基本的な懲戒処分の考え方

では、セクハラ行為の事案でいかなる懲戒処分を行うべきでしょうか?その処分量定が問題となります。

懲戒処分の量定を考えるにあたっては,社員のセクハラ行為が①刑法上の強制わいせつ等犯罪行為に該当するレベルなのか,②着衣の上からお尻を触るという民法上の不法行為(損害賠償)が生ずるレベルなのか,③①,②には該当しないが被害者の職務遂行能力や職場環境を阻害するレベルなのか,ということが1つの重要な基準となります。

また,行為の悪質さ,被害者の処罰感情の有無,加害者の謝罪の有無等を総合的に考慮した上で最終的な処分を決定する必要があります。

以下,①犯罪行為レベルのセクハラ,②民法上の不法行為レベルのセクハラ,③職場環境阻害レベルのセクハラに分けて説明します。

4.2 ①犯罪行為レベルのセクハラ

まず,強姦や強制わいせつに該当する犯罪行為を行った従業員に対する懲戒は,懲戒解雇を含む労働契約の解消しかありません。特に,同僚や部下が被害者である場合には企業秩序が保てませんから,懲戒解雇以外はないでしょう。

コンピューター・メンテナンス・サービス事件(東京地裁平10.12.7判決労判751号18頁)

A社に派遺されて、コンピュータの管理業務に従事していたY社のXが、派遣先の女性社員Bと残業時に長話をするようになり、Bの肩を揉んだり、手をBの身体の前に持ってきたり、ブラジャーに手をかけるような行為をするなどして、残業を終えて帰ろうとするBを追いかけて同じエレベーターに乗り、降りようとしたところで物陰に引きずり込んで抱きつきながら胸に触る、残業を終えて出ようとしたBに抱きつくなどの行為を約5カ月にわたって行ったことに対して、強制わいせつ的行為があったものと認定して懲戒解雇に処した事件で,裁判所は,Xの行為は、Bが不快感を示していたにもかかわらずなされたもので、その態様も執拗かつ悪質で、Bに相当程度の苦痛と恐怖を与え、Xの行為が、A社においてその職場内の風紀秩序を著しく乱し、ひいては、Y社の名誉や信用を著しく傷つけたとして、懲戒解雇処分を有効と判断した。大阪観光バス〔懲戒解雇〕事件(大阪地判平12.4.28労判789-15)観光バス運転手が女性バスガイドにアンカー懲戒解雇を有効と判断した。

4.3 ②民法上の不法行為レベルのセクハラ

着衣の上から胸やでん部を触るといった行為は,刑法上の強制わいせつ罪に問うのは難しいですが,民法上の不法行為は成立するといえます。
懲戒処分としては,初犯の場合には懲戒解雇や諭旨解雇することはできないと考えられ,普通解雇も一般的には難しいと考えられます。
そこで,処分としては,降格(職位を外す)や出勤停止等の懲戒処分が相当といえます。もっとも,過去に同様の行為を行い,譴責・戒告等の懲戒処分を受けている場合は,事案によっては普通解雇できる可能性が高いと思われます。

Y社(セクハラ・懲戒解雇)事件(東京地裁平21.4.2 4判決 労判987号48頁)

支店長が部下の女性に宴会の席でセクハラをした事案において,裁判所は,セクハラを防止すべき立場にありながらの行為で情状は芳しくないとしながら,宴会での手を握ったり肩を抱くという程度の一連の行為が,いわゆる強制わいせつ的なものとは一線を画すものであり,気の緩みがちな宴会で一定量の飲酒の上歓談の流れの中で調子に乗ってされた言動としてとらえることができ,また秘密裏というより多数の従業員の目もあるところで開けっぴろげになされたもので,おのずとその限界があるとして,懲戒解雇を無効と判示した。

日本HP社セクハラ解雇事件(東京地裁平17.1 .31判決判タ1185号214頁)

社員Xは、Y社の金融営業本部長の職位にあったところ,部下の女性従業員Aに対して「Aちゃん、やらせてよお」との発言を行い、無理やりキスをしたり、深夜に自宅付近まで自動車で押し掛けてその自動車に乗せ車中で手を握る、他の部下である女性従業員Bに対しては、「おまえ、いつやらせてくれるんだよ」などと日常的に発言をし、自分の膝の上に座らせた上、胸をわしづかみするように触るなどしたことを理由にY社が懲戒解雇処分とした事案について,裁判所はXの行為は悪質なものであり、Y社においてXの地位は役員に次ぐ地位にあり、約80人の従業員を管理監督する立場にあったにもかかわらず、立場上拒絶することが難しいAとBに対してセクハラ行為を行ったもので、その責任は重く,また,Y社では、セクハラ行為を含む差別や嫌がらせに対してこれを禁止しており、これに違反した場合は懲戒解扉を含む厳罰を科するとの方針を明示し,教育を行っていたこと等を踏まえれば,懲戒解雇は有効であると判断した。

弁護士吉村雄二郎
実務ポイント
職場での部下の背部を触るというようなセクハラ行為を行った場合は,上記のとおり一般的には降格等の懲戒処分にしかできません。しかし,実務的には仮に初犯であっても退職届の提出を求めて雇用契約を終了させることが相当でしょう。体を触るという破廉恥なセクハラ行為を行った場合,その労働者は基本的には職場における信頼を失い,会社における未来はありません。退職して別の企業での再起を促したほうが本人のためでもあります。また,被害者が,行為者だけでなく会社に対しても損害賠償請求を求めるおそれがあります。損害賠償をせずとも職場環境は著しく乱れます。そこで,懲戒処分を受けて会社に残るよりも退職したほうが,行為者と会社の双方にとって賢明な選択といえる場合が多いのです。

4.4 ③職場環境を阻害するレベルのセクハラ

職場環境を阻害するレベルのセクハラ行為者については,譴責や減給,悪質な態様のものは降格等の懲戒処分とすることになります。管理職などの立場の場合は,職務適性がないとして普通解雇も許容される場合もありえます。
また,それ以下のレベルのセクハラ行為者については,懲戒ではなく,まず注意・指導を与え,是正されない場合には譴責等の懲戒処分とすることが相当であると思われます。

X市事件(大阪地裁平成18年4月26日判決(労経速1946号3頁))

保健センター所長代理であった男性職員Xが,複数の女性職員に対して体型を誹謗する(「まだやせてないな」というなど),「とっちゃん」と呼ぶ,身体的特徴や服装について指摘するなど言動を行っていたことを理由に減給の懲戒処分がなされた事案において,裁判所は,セクハラにあたる行為はあったものの,その内容程度からすれば,何らの注意を経ることなくいきなり減給の懲戒処分を加えたのは重すぎるとして無効と判断された。

L館事件(最高裁一小平27.2.26判決労判1109号5頁)

Y社の男性従業員Xらが、それぞれ複数の女性従業員に対しで性的な発言等を行ったことを懲戒事由として、Y社から出勤停止の懲戒処分を受けるとともに下位の等級に降格された事案において,裁判所は,X1は、営業部サービスチームの責任者の立場にありながら、女性従業員Aが精算室において1人で勤務している際に、同人に対し、自らの不貞相手に関する性的な事柄や自らの性器、性欲等についてことさらに具体的な話をするなど、極めて露骨で卑猥な発言等を繰り返すなどしたもので、X2は、従業員Aの年齢や従業貝Aらがいまだ結婚をしていないことなどをことさらに取り上げて著しく侮蔑的ないし下品な言辞で同人らを侮辱しまたは困惑させる発言を繰り返し、派遣社員である従業員Aの給与が少なく夜間の副業が必要であるなどと椰楡する発言をするなどしたことは,いずれも女性従業員に対して強い不快感や嫌悪感ないし屈辱感等を与えるもので、職場における女性従業員に対する言動として極めて不適切なものであって、その執務環境を著しく害するものであったというべきであり、当該従業員らの就業意欲の低下や能力発揮の阻害を招来するものであり,懲戒処分を有効と判断した。
なお,裁判所は,Xらの行為は従業員Aから明白な拒否の姿勢を示されていないとしても,「職場におけるセクハラ行為については、被害者が内心でこれに著しい不快感や嫌悪感等を抱きながらも、職場の人間関係の悪化等を懸念して、加害者に対する抗議や抵抗ないし会社に対する被害の申告を差し控えたりちゅうちょしたりすることが少なくないと考えられる」ことから,被害者が拒否していなかったとしてもそのことは加害者に有利に斟酌するべきではないと判示した。

A製薬(セクハラ解雇)事件( 東京地裁平12.8.29判決労判794号77頁)

約30人の部下を統括するデータ管理関係の室長として、東京で単身赴任をしていた男性社員が、①部下の女性社員や派遣社員に対して、たびたび「食事に行こう」「デートしよう」と誘ったり、「貴方を抱きたい」といったメールを送ったりし、②業務にかこつけて女性社員と個人面談を行い、「6年半もアプローチしているのに冷たいね」などと述べて交際を迫る、③担当者でない部下に出張を命じてそれに同行しようとする、④複数の男性社員に、夜の間だけ相手をする女性を紹介したら管理職にするなどの発言をしたことを理由に普通解雇された事案について,裁判所はセクハラの発言については、部下を困惑させ、その就業環境を著しく害するものであること、会社がセクハラを含む嫌がらせのない職場の提供等を行うため、まず、部下を預かる管理職者を実践の第一義的責任者と位置付けていたこと等から、当該社員が管理職としてのみならず、従業員としても必要な適格性を欠くと判断したことは相当の理由があるとして、普通解雇を有効と判断した。

弁護士吉村雄二郎
実務ポイント
セクハラへの対応として配転等が行われることがありますが,被害者本人の希望がない限り被害者を異動させるべきではありません。仮に加害者が有能であっても,必ず加害者を異動させるべきです。被害者が泣きを見るのであれば,周囲の従業員の納得が得られず,会社の信用を失います。従業員の忠誠度が大きく下降することになり,その後の労務管理にも少なからず支障が生ずることになります。

5 懲戒処分量定の参考データ

民間データ

電子メールでわいせつな内容の文書を社内の複数の女性に送るなど、セクハラ行為が発覚した

1位 戒告・けん責・注意処分(42.1%)
2位 減給(39.8%)
3位 出勤停止(37.4%)

※「労政時報」第3949号(2018年4月13日発行)P38~「懲戒制度の最新実態」

公務員データ

セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。
イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。

※「懲戒処分の指針について」(人事院)2020年4月1日改正

報道データ

2022.2.2 キスも…女性隊員にわいせつ行為 朝霞駐屯地、陸曹長を停職4か月の懲戒処分
2022.2.5 宮崎県警巡査 セクハラで減給の懲戒処分
2022.2.5 ベランダ伝いに同僚女性宅侵入疑い 警察官を減給の懲戒処分
2022.2.5 同僚にセクハラ 停職1か月の懲戒処分
2022.2.9 わいせつ教授を懲戒解雇
2022.2.28 10年以上前からセクハラ繰り返す 小田原市職員を停職の懲戒処分
2022.2.28 セクハラ文書を庁内にファックスした女性職員に兵庫県が停職1か月の懲戒処分
2022.3.1 1等空佐が女性隊員にセクハラ 減給の懲戒処分
2022.3.4 当時学生だった女性と不適切な関係 上智大が教授を懲戒解雇
2022.3.15 「性欲ある?」忘年会で女性職員にセクハラ、市の部次長を減給の懲戒処分
2022.3.16 同僚の歯ブラシくわえ停職の懲戒処分
2022.3.25 女性部下にキスなどのセクハラ 海自、男性3等海曹ら2人を懲戒処分
2022.3.26 車で自宅に送ってくれた女性教職員にキス、胸を触る 男性教諭に停職の懲戒処分
2022.3.28 県立病院の調理場、女性5人の体触り、性的関係求める 40代男性調理員、セクハラで停職の懲戒処分
2022.3.31 「胸が大きい」と職場の女性に 男性職員を停職の懲戒処分
2022.4.1 会食後の男性市職員、手をつなぐこと強要 減給の懲戒処分
2022.4.16 帰り道で同僚にセクハラ 沖縄県職員を戒告の懲戒処分

その他報道データは

セクハラ行為に対する懲戒処分事例【報道】

5 セクハラに対する懲戒処分の会社の対応方法

1 調査(事実及び証拠の確認)

セクハラ事案については,以下の事実及び証拠を調査・確認する必要があります。

調査するべき事実関係

□ 被害者が申告するセクハラ行為の内容
□ セクハラ行為に至った経緯・被害者と加害者の関係
□ 被害者側の帰責事由(好意等)の有無
□ 加害者による謝罪や示談の有無
□ 注意指導や戒告・譴責の有無,回数
□ 注意等の後の社員の態度
□ 通常の勤務状況・成績

調査の際に収集する資料

□ メール・SNS等のやりとり
□ 被害者の診断書
□ 目撃者の証言
□ 注意指導を行った文書,メール
□ 懲戒処分通知書,始末書

量刑・情状酌量事情

□ セクハラ行為の具体的態様・悪質性
□ 被害者の被害の軽重
□ 会社の業務に与えた影響
□ セクハラ言動が行われた場所・時間帯
□ 謝罪・反省の態度の有無
□ 治療費等の弁償の有無
□ 示談の成否
□ 入社後の勤務態度
□ 他の社員に与える影響の大小
□ 会社における過去の同種事案での処分例との比較
□ 他社及び裁判例における同種事案との処分例との比較

2 懲戒処分の進め方

1 不祥事の発覚
内外からの通報、上司・同僚による発見、本人申告等などにより不祥事が発覚します。
2 事実調査
懲戒処分に該当する可能性のある事案が発生した場合は,懲戒処分の前提として事実の調査を行います。
調査に支障がある場合は本人を自宅待機させます。
参考記事
すぐ分かる! 懲戒処分の調査のやり方
・懲戒に関する事情聴取のポイント
懲戒処分前の自宅待機命令の方法(雛形・書式あり)
社員のメールをモニタリングする場合の注意点【規程例あり】
3 処分の決定
調査により認定された事実に基づいて懲戒処分を行うか否か,行う場合の懲戒処分の種類・程度を決定します。
参考記事
・もう迷わない!分かりやすい懲戒処分の判断基準
・知っておきたい懲戒処分の有効要件
4 懲戒手続
懲戒委貞会の開催、弁明の機会付与等を行います。
参考記事
・知っておきたい懲戒処分の有効要件
5 懲戒処分の実施・公表
決定した懲戒処分を当該社員へ文書により通告します。
実施した懲戒処分について,必要に応じて社内外に公表します。
参考記事
受取拒否にも対応、懲戒処分を通知する方法【書式・ひな形あり】
名誉毀損にならない懲戒処分の公表方法【書式・ひな形あり】
6 再発防止措置
懲戒処分を行っただけでは再度同じ不祥事が生ずる可能性があります。
そこで、会社は再発防止の為に各種施策を講じます。

懲戒処分は労務専門の弁護士へご相談を

弁護士に事前に相談することの重要性

懲戒処分は秩序違反に対する一種の制裁「罰」という性質上、労働者保護の観点から法律による厳しい規制がなされています。

懲戒処分の選択を誤った場合(処分が重すぎる場合)や手続にミスがあった場合などは、事後的に社員(労働者)より懲戒処分無効の訴訟を起こされるリスクがあります。懲戒処分が無効となった場合、会社は、過去に遡って賃金の支払いや慰謝料の支払いを余儀なくされる場合があります。

このようなリスクを回避するために、当サイトでは実践的なコンテンツを提供しています。

しかし、実際には、教科書どおりに解決できる例は希であり、ケースバイケースで法的リスクを把握・判断・対応する必要があります。法的リスクの正確な見立ては専門的経験及び知識が必要であり、企業の自己判断には高いリスク(代償)がつきまといます。また、誤った懲戒処分を行った後では、弁護士に相談しても過去に遡って適正化できないことも多くあります。

リスクを回避して適切な懲戒処分を行うためには労務専門の弁護士事前に相談することとお勧めします

労務専門の吉村労働再生法律事務所が提供するサポート

当事務所は、労務専門の事務所として懲戒処分に関しお困りの企業様へ以下のようなサポートを提供してます。お気軽にお問い合わせください。

労務専門法律相談

懲戒処分に関して専門弁護士に相談することが出来ます。法的なリスクへの基本的な対処法などを解決することができます。

詳しくは

サポート内容及び弁護士費用 の「3 労務専相談」をご参照ください。

懲戒処分のコンサルティング

懲戒処分は限られた時間の中で適正に行う必要があります。進めていくなかで生じた問題に対して適時適切な対応が要求されますので単発の法律相談では十分な解決ができないこともあります。
懲戒処分のコンサルティングにより、懲戒処分の準備から実行に至るまで、労務専門弁護士に継続的かつタイムリーに相談しアドバイスを受けながら適正な対応ができます。
また、弁明聴取書、懲戒処分通知書・理由書などの文書作成のサポートを受けることができます。
これにより懲戒処分にかかる企業の負担及びリスクを圧倒的に低減させる効果を得ることができます。

詳しくは

サポート内容及び弁護士費用 の「4 コンサルティング」をご参照ください。

労務専門顧問契約

懲戒処分のみならず人事労務は企業法務のリスクの大半を占めます。
継続的に労務専門の弁護士の就業規則のチェックや問題社員に対する対応についてのアドバイスを受けながら社内の人事労務体制を強固なものとすることが出来ます。
発生した懲戒処分についても、懲戒処分の準備から実行に至るまで、労務専門弁護士に継続的かつタイムリーに相談しアドバイスを受けながら適正な対応ができます。
また、弁明聴取書、懲戒処分通知書・理由書などの文書作成のサポートを受けることができます。
これにより懲戒処分にかかる企業の負担及びリスクを圧倒的に低減させる効果を得ることができます。

詳しくは

労務専門弁護士の顧問契約 をご参照ください。

セクハラ行為による懲戒処分に関する裁判例

犯罪行為レベルのセクハラ

コンピューター・メンテナンス・サービス事件

東京地裁平10.12.7判決労判751号18頁

A社に派遺されて、コンピュータの管理業務に従事していたY社のXが、派遣先の女性社員Bと残業時に長話をするようになり、Bの肩を揉んだり、手をBの身体の前に持ってきたり、ブラジャーに手をかけるような行為をするなどして、残業を終えて帰ろうとするBを追いかけて同じエレベーターに乗り、降りようとしたところで物陰に引きずり込んで抱きつきながら胸に触る、残業を終えて出ようとしたBに抱きつくなどの行為を約5カ月にわたって行ったことに対して、強制わいせつ的行為があったものと認定して懲戒解雇に処した事件で,裁判所は,Xの行為は、Bが不快感を示していたにもかかわらずなされたもので、その態様も執拗かつ悪質で、Bに相当程度の苦痛と恐怖を与え、Xの行為が、A社においてその職場内の風紀秩序を著しく乱し、ひいては、Y社の名誉や信用を著しく傷つけたとして、懲戒解雇処分を有効と判断した。

大阪観光バス〔懲戒解雇〕事件

大阪地判平12.4.28労判789-15

観光バス運転手が女性バスガイドに抱きつく,でん部・脚部・胸などを触るなどの行為を繰り返していたことを理由になされた懲戒解雇について,裁判所は懲戒解雇を有効と判断した。

民法上の不法行為レベルのセクハラ

Y社(セクハラ・懲戒解雇)事件

東京地裁平21.4.2 4判決 労判987号48頁

支店長が部下の女性に宴会の席でセクハラをした事案において,裁判所は,セクハラを防止すべき立場にありながらの行為で情状は芳しくないとしながら,宴会での手を握ったり肩を抱くという程度の一連の行為が,いわゆる強制わいせつ的なものとは一線を画すものであり,気の緩みがちな宴会で一定量の飲酒の上歓談の流れの中で調子に乗ってされた言動としてとらえることができ,また秘密裏というより多数の従業員の目もあるところで開けっぴろげになされたもので,おのずとその限界があるとして,懲戒解雇を無効と判示した。

日本HP社セクハラ解雇事件

東京地裁平17.1 .31判決判タ1185号214頁

社員Xは、Y社の金融営業本部長の職位にあったところ,部下の女性従業員Aに対して「Aちゃん、やらせてよお」との発言を行い、無理やりキスをしたり、深夜に自宅付近まで自動車で押し掛けてその自動車に乗せ車中で手を握る、他の部下である女性従業員Bに対しては、「おまえ、いつやらせてくれるんだよ」などと日常的に発言をし、自分の膝の上に座らせた上、胸をわしづかみするように触るなどしたことを理由にY社が懲戒解雇処分とした事案について,裁判所はXの行為は悪質なものであり、Y社においてXの地位は役員に次ぐ地位にあり、約80人の従業員を管理監督する立場にあったにもかかわらず、立場上拒絶することが難しいAとBに対してセクハラ行為を行ったもので、その責任は重く,また,Y社では、セクハラ行為を含む差別や嫌がらせに対してこれを禁止しており、これに違反した場合は懲戒解扉を含む厳罰を科するとの方針を明示し,教育を行っていたこと等を踏まえれば,懲戒解雇は有効であると判断した。

職場環境を阻害するレベルのセクハラ

X市事件

大阪地裁平成18年4月26日判決(労経速1946号3頁)

保健センター所長代理であった男性職員Xが,複数の女性職員に対して体型を誹謗する(「まだやせてないな」というなど),「とっちゃん」と呼ぶ,身体的特徴や服装について指摘するなど言動を行っていたことを理由に減給の懲戒処分がなされた事案において,裁判所は,セクハラにあたる行為はあったものの,その内容程度からすれば,何らの注意を経ることなくいきなり減給の懲戒処分を加えたのは重すぎるとして無効と判断された。

L館事件

最高裁一小平27.2.26判決労判1109号5頁

Y社の男性従業員Xらが、それぞれ複数の女性従業員に対しで性的な発言等を行ったことを懲戒事由として、Y社から出勤停止の懲戒処分を受けるとともに下位の等級に降格された事案において,裁判所は,X1は、営業部サービスチームの責任者の立場にありながら、女性従業員Aが精算室において1人で勤務している際に、同人に対し、自らの不貞相手に関する性的な事柄や自らの性器、性欲等についてことさらに具体的な話をするなど、極めて露骨で卑猥な発言等を繰り返すなどしたもので、X2は、従業員Aの年齢や従業貝Aらがいまだ結婚をしていないことなどをことさらに取り上げて著しく侮蔑的ないし下品な言辞で同人らを侮辱しまたは困惑させる発言を繰り返し、派遣社員である従業員Aの給与が少なく夜間の副業が必要であるなどと椰楡する発言をするなどしたことは,いずれも女性従業員に対して強い不快感や嫌悪感ないし屈辱感等を与えるもので、職場における女性従業員に対する言動として極めて不適切なものであって、その執務環境を著しく害するものであったというべきであり、当該従業員らの就業意欲の低下や能力発揮の阻害を招来するものであり,懲戒処分を有効と判断した。
なお,裁判所は,Xらの行為は従業員Aから明白な拒否の姿勢を示されていないとしても,「職場におけるセクハラ行為については、被害者が内心でこれに著しい不快感や嫌悪感等を抱きながらも、職場の人間関係の悪化等を懸念して、加害者に対する抗議や抵抗ないし会社に対する被害の申告を差し控えたりちゅうちょしたりすることが少なくないと考えられる」ことから,被害者が拒否していなかったとしてもそのことは加害者に有利に斟酌するべきではないと判示した。

A製薬(セクハラ解雇)事件

東京地裁平12.8.29判決労判794号77頁

約30人の部下を統括するデータ管理関係の室長として、東京で単身赴任をしていた男性社員が、①部下の女性社員や派遣社員に対して、たびたび「食事に行こう」「デートしよう」と誘ったり、「貴方を抱きたい」といったメールを送ったりし、②業務にかこつけて女性社員と個人面談を行い、「6年半もアプローチしているのに冷たいね」などと述べて交際を迫る、③担当者でない部下に出張を命じてそれに同行しようとする、④複数の男性社員に、夜の間だけ相手をする女性を紹介したら管理職にするなどの発言をしたことを理由に普通解雇された事案について,裁判所はセクハラの発言については、部下を困惑させ、その就業環境を著しく害するものであること、会社がセクハラを含む嫌がらせのない職場の提供等を行うため、まず、部下を預かる管理職者を実践の第一義的責任者と位置付けていたこと等から、当該社員が管理職としてのみならず、従業員としても必要な適格性を欠くと判断したことは相当の理由があるとして、普通解雇を有効と判断した。

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