労働審判手続期日呼出状

会社必見!第1回労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告状が届いたら行うべき3つのこと

社長
今日会社に裁判所から「第1回労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告状」と申立書類一式が届きました。先月退職した従業員からのものでした。裁判所への出頭期日や答弁書という会社側の言い分を記載する書面の提出期限も記載されています。どう対応したらよいでしょうか?
弁護士吉村雄二郎
社長、慌てる必要はありません。「第1回労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告状」を受け取った会社がとるべき対応ポイントについて分かりやすく説明したいと思います。

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1 「第1回労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告状」とは?

「第1回労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告状」とは,労働者より労働審判手続申立書が裁判所に提出されたことを受け,裁判所(労働審判委員会)が会社側に対して,指定された第1回労働審判手続期日に出頭するよう求めると共に,同期日前に会社側の言い分を記載した答弁書を提出するよう求める書面を意味します。

早い話が,会社は訴えられたので,対応を迫られていると理解してもらえばよいでしょう。

事件番号 令和4年(労)第368号 地位確認等請求事件
申立人 甲野 太郎
相手方 ○△商事株式会社

第1回労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告

令和4年5月10日

相手方 ○△商事株式会社
代表者代表取締役 ○野△太郎

〒100-8920         
東京都千代田区霞ヶ関1-1-4  
東京地方裁判所民事第11部ロ係 
裁判所書記官 山田 花子   
TEL 03-3581-○○○○     

 頭書の事件について,申立人から労働審判手続申立書が提出され,当裁判所に出頭する期日及び場所が下記のとおり定められましたから同期日に出頭してください。
なお,労働審判手続申立書及び証拠書類の各写しを送付しますから下記答弁書提出期限までに答弁書及び証拠書類の写しを提出してください。提出方法等については,別添「注意書」をお読みください。
また,第1回期日の前にあらかじめ主張及び証拠の提出に必要な準備をしておいてください。

期     日 令和4年6月30日(木)午後1時30分
       (所要時間は、2時間30分程度の予定です。)
出 頭 場 所 東京地方裁判所民事第11部書記官室(13階)
答弁書提出期限 令和4年6月15日(水)
(出頭の際には、この呼出状を上記場所で示してください。)

 

2 何をするべきか?

では,訴えられたとして,会社側が行わなければならない労働審判対応は3つです。

  1. 弁護士への相談・依頼
  2. 答弁書の作成・証拠書類の整理及び提出
  3. 労働審判手続期日に向けた準備

です。以下、見ていきましょう。

2.1 ①弁護士への相談・依頼

まずは,労働審判手続の対応を弁護士に相談・依頼してください。

労働審判手続は非常に専門性の高い裁判手続なので,裁判実務(特に労働裁判の実務)実務に精通し,裁判類型ごとの主張・立証の方法を熟知していなければ対応はできなりません。

労働裁判に強い弁護士に依頼しなかったばかりに期限までの充実した準備が出来ずに不本意な結論に至ることも多いのが実情です。

よって,まずは速やかに労働裁判に精通した弁護士へ相談及び依頼をするべきです。

第1回労働審判期日は会社の都合は関係なしに指定されているので,弁護士のスケジュールを早急に押さえてもらう必要があります。

また,第1回労働審判手続期日呼出状が届いて間もない時期であれば,弁護士を通じて期日の変更も可能な場合もあります。

そこで,第1回労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告が届いてから出来れば1週間以内に弁護士へ相談及び依頼をするべきです。

1週間以上かかっても諦めずに出来るだけ早いタイミングで弁護士を探しましょう。

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2.2 ②答弁書の作成・証拠書類の整理及び提出

次に,会社の言い分を記載した答弁書や会社の主張を裏付ける証拠を準備することが重要となります。

労働審判は短期決戦の裁判手続であり,特に第1回労働審判期日で裁判所(労働審判委員会)の有利な心証を得ることが重要です。

というのも,その心証に基づいて調停や労働審判が行われるからです。

そして,裁判所(労働審判委員会)は,第1回労働審判手続期日までに提出される答弁書及び証拠書類によってほぼ70%~80%程度の心証を形成するといっても過言ではありません。

つまり,会社が提出する答弁書や証拠書類の出来によって,勝負がついてしまう可能性が高いのです。

よって,会社は答弁書や証拠書類によって充実した主張・立証を行うことが勝利の為には不可欠です。

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2.3 ③労働審判手続期日に向けた準備

充実した答弁書や証拠書類を出しただけでは安心は出来ません。

というのも,第1回労働審判期日では,1時間から長いときは2時間程度,裁判所(労働審判委員会)は,事実関係について当事者双方に質問を行うからです。

裁判所(労働審判委員会)は申立書や答弁書及び証拠書類を熟読した上で期日に臨みますが、書面だけでは分からない部分について,当事者双方に質問をぶつけてきます。

質問の仕方は裁判官(審判官)の個性によって様々ですが、矢継ぎ早に,様々な角度から質問がなされることが殆どです。

裁判所(労働審判委員会)は労働実務及び労働裁判のプロです。

曖昧にした回答した事実関係や嘘は,鋭い質問によって見抜きます。

よって,第1回労働審判期日で想定される裁判所(労働審判委員会)からの質問に対する受け答えを事前に準備しておく必要があります。

その為には,想定問答集やリハーサルを事前に繰り返し行い,スムーズに回答が出来るようにしなければなりません。

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3 まとめ

以上をまとめると,

「第1回労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告状」が会社に届いたら,

すぐに、労働裁判に精通した弁護士に相談及び依頼をする。

そして,弁護士の指導に基づいて②答弁書の作成・証拠書類の整理を行い,③労働審判手続期日に向けた準備を進める。

いずれも時間的にかなりタイトとなるので,時間の勝負となります。

迷っている時間もあまりありません。まずは労働審判に実績のある弁護士に相談することをお勧めします。

当事務所では労働審判を申し立てられた会社の相談を初回無料で受け付けているので,是非ご利用ください。

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