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労働判例INDEX(2022年4月)

2022年4月に公刊された判例雑誌(労判、判タ、労経速、判時、労判ジャーナル)から労働裁判例の目次を整理しました。

労働判例 2022年4月1日号 No.1258

国(在日米軍厚木航空施設・パワハラ)事件

東京地裁(令和3年11月22日)判決

基地労働者におけるパワハラの有無と損害賠償責任(パワハラを認定,損害賠償請求一部認容)

日本貨物検数協会(日興サービス)事件

名古屋高裁(令和3年10月12日)判決

労働者派遣の適法性と労働契約申込みみなし制度適用の有無(派遣に労働契約申込みみなし制度適用潜脱目的あり,法定期間内に労働者の承諾の意思表示がなく,直接雇用は不成立)

参考記事

三多摩合同労働組合元組合員事件

東京地裁立川支部(令和3年9月16日)判決

組合脱退後の賦課金支払義務の有無(賦課金支払義務なし)

医療法人偕行会事件

東京地裁(令和3年3月30日)判決

理事兼従業員の出向後就業拒否と懲戒解雇の有効性(従業員に就労の意思および能力なし,懲戒解雇有効)

オーダースーツSADAほか1社事件

宮城県労委(令和2年9月26日)命令

1 Y1会社とアドバイザリー業務契約を締結した社労士および共済組合の一連の行為は不当労働行為に当たるとされた例
2 共済組合に関する事項は労使関係に関する事項ではないとして,共済組合にかかる団体交渉の開催を正当な理由なく拒んだことをはじめとして,4回にわたり団体交渉を拒否したY1会社の対応は,すべて不当労働行為に該当するとされた例
3 Y1会社による社内施設の利用を拒否する行為は,不当労働行為に該当するとされた例
4 Y1会社によるチェック・オフの停止は,不当労働行為に該当するとされた例
5 A1執行委員長にかかる平成30年度夏季賞与の不支給は,A1執行委員長が組合員であること,およびX組合が本件救済申立てをおこなったことによるものと認められ,不利益取扱いおよび報復的取扱いに当たるとされた例

労働判例 2022年4月15日号 No.1259

建設アスベスト訴訟(京都)事件

最高裁第一小法廷(令和3年5月17日)判決

石綿粉じんばく露と国・建材メーカーらの賠償責任(屋外建設作業に従事していた者に対しては,責任なし)

学校法人専修大学(無期転換)事件

東京地裁(令和3年12月16日)判決

非常勤講師の科技イノベ活性化法15条の2第1号該当性と無期転換適用の可否(科技イノベ活性化法15条の2第1号「研究者」に該当せず,無期転換適用不可)

摂津産業開発事件

大阪地裁(令和3年3月26日)判決

勤務態度不良を理由とした普通解雇の有効性等(解雇は無効)

ロジクエスト事件

東京地裁(令和2年11月24日)判決

配送業務従事者の労基法上の労働者性(労働者性なし)

ラッキーほか事件

東京地裁(令和2年11月6日)判決

営業手当の割増賃金該当性ならびに待機時間の労働時間該当性等(営業手当が割増賃金として支払われていたと認めることはできず,待機時間のうち1時間は休憩時間で,それ以外の待機時間は労働時間に該当する)

判例タイムズ 1494号 5月号 (2022年4月25日発売)

札幌地裁(令和3年1月28日)判決

1 自動車販売等を業とする株式会社の新人従業員が適応障害を発症し,自死した事案において,先輩従業員から業務上の相当な指導の範囲を超える発言があったことについては,これにより適応障害が発症したといえ,不法行為に該当するが,他方,上記新人従業員の自死との間に相当因果関係が認められないとされた事例
2 上記事案において,慰謝料44万円が認められた事例
3 上記新人従業員が適応障害を発症した後に,上記株式会社の支店長や課長が同従業員に休養をとらせず,いたずらに出勤を促したとの事実は認められず,また,同従業員の主治医との面談や同株式会社の産業医に同従業員を受診させるとの措置を講じなかったことや,同従業員を他の支店に異動させなかったことが,安全配慮義務違反とはいえないとされた事例

労働経済判例速報(4/10)2473号

龍生自動車事件

東京地裁(令和3年10月28日)判決

会社解散・清算を前提とした解雇が,整理解雇法理による有効性判断は採用せず、解雇は合理的で有効とされた例

弁護士吉村雄二郎
近年の業績悪化 → コロナ禍によるさらなる急激な業績悪化 → 解雇予告 → 団体交渉に応じつつ説明を行い、僅かだが退職金を提示、事業譲渡先や雇用受け入れ先を探すも頓挫 → 解雇発効 → 会社解散手続  という流れで解雇は有効と判断されました。解雇の有効性判断については、解散に伴う解雇であるとした上で、整理解雇法理により判断するのではなく、①手続的配盧を著しく欠いたまま解雇が行われたものと評価される場合や、②解雇の原因となった解散が仮装されたもの又は既存の従業員を排除するなど不当な目的でなされたものと評価される場合に、解雇権の濫用として無効になるとの判断枠組を示しました。従来の裁判例と同じ枠組と評価できます。

学校法人コングレガシオン・ド・ノートルダム事件

福岡地裁小倉支部(令和3年12月15日)決定

転居を伴う異動命令に保全の必要性が認められなかった例(異動命令は有効)

学校法人工学院大学事件

東京地裁(令和3年11月25日)判決

定年退職直前に休職期間満了に伴い退職となった社員に,退職金の定年時加算支給が認められなかった例

労働経済判例速報(4/20)2474号

NECソリューションイノベータ事件

大阪地裁(令和3年11月29日)判決

配転命令拒否を理由とする懲戒解雇が有効とされた例

日東電工事件

広島地裁福山支部(令和3年12月23日)判決

有期契約社員からの合意解約申込みの撤回が認められなかった例

労働経済判例速報(4/30)2475号

日本郵便事件

札幌高裁(令和3年11月17日)判決

旅費の不正受給を理由とする懲戒解雇を有効とした原判決を取り消し,解雇が無効とされた例

医療法人社団A事件

横浜地裁(令和3年10月28日)判決

日常的なセクハラ言動を理由とした普通解雇が有効とされた例

判例時報 No.2508 2022年4月1日号

東京高裁(令和3年2月24日)判決〈参考原審:東京地裁(令和2年1月29日)判決〉

懲戒解雇された労働者(大手金融機関の行員)に対する退職金全額不支給措置が,懲戒事由が数年にわたり反復継続された雑誌社への秘密情報漏洩行為であって雇い主たる前記金融機関の信用を大きく毀損したことを考慮して,適法であるとされた事例

判例時報 No.2509 2022年4月11日号

高松高裁(令和2年12月24日)判決〈参考原審:高知地裁(令和2年2月28日)判決〉

1 長時間労働の中,取締役からひどい嫌がらせ・いじめと評価される叱責を受けた従業員が精神障害を発病し自殺したとして,相当因果関係を認めた事例
2 会社の安全配慮義務違反を認めた事例
3 取締役らに会社法429条1項に基づく損害賠償責任を認めた事例

労働判例ジャーナル 121号(2022年・4月)

日立製作所(退職勧奨)事件

東京地裁(令和3年12月21日)判決

退職勧奨及び降格の適法性(退職勧奨は適法,降格も適法)

国・法務大臣事件

岐阜地裁(令和3年12月10日)判決

石綿ばく露規制不作為に基づく国に対する損害賠償等請求(請求認容)

学校法人宮崎学園事件

福岡高裁宮崎支部(令和3年12月8日)判決

大学有期雇用教員に対する給与基準改定の有効性(給与基準改定は無効,未払賃金請求認容)

国・法務大臣事件

仙台高裁(令和3年12月2日)判決

就業後の腕相撲大会における負傷の業務上負傷該当性(業務遂行性を認定,労災と認定)

山梨市事件

甲府地裁(令和3年11月30日)判決

教諭の職務上の法的義務違反に基づく慰謝料等請求(請求一部認容)

NECソリューションイノベータ事件

大阪地裁(令和3年11月29日)判決

配転命令拒否を理由とする懲戒解雇の有効性(懲戒解雇は有効)

神戸市事件

神戸地裁(令和3年11月26日)判決

元職員らに対する退職手当支払分相当額の損害賠償等請求(時効により請求棄却)

阪本商会事件

大阪地裁(令和3年11月24日)判決

自損事故の損害に基づく元従業員に対する損害賠償等請求(請求一部認容)

旭川公証人合同役場事件

札幌高裁(令和3年11月19日)判決

セクハラ行為に基づく慰謝料等請求(請求一部認容)

アネビー事件

大阪地裁(令和3年11月16日)判決

事業場外労働みなし労働時間制適用の可否(事業場外労働みなし労働時間制適用を否定,未払割増賃金請求一部認容)

医療法人一栄会事件

大阪地裁(令和3年11月15日)判決

診療所の閉鎖と合意退職無効地位確認等請求(合意退職は無効)

バンダイ事件

東京高裁(令和2年11月12日)判決

業務移管を理由とする雇止めの有効性(雇止めは有効)

ツキネコ事件

東京地裁(令和3年10月27日)判決

リハビリ期間中と復職命令後の未払賃金等支払請求(請求棄却)

西海市事件

長崎地裁(令和3年10月26日)判決

職務怠慢等を理由とする懲戒(減給)処分取消請求(懲戒(減給)処分は無効)

アジアスター事件

東京地裁(令和3年10月26日)判決

有期雇用期間途中の解雇の有効性(解雇は無効,未払賃金請求一部認容)

イオンフィナンシャルサービス事件

東京地裁(令和3年10月18日)判決

会社及び取締役であった者らに対する損害賠償等請求(請求棄却)

木村建設事件

東京地裁(令和3年10月14日)判決

組合及び分会長に対する損害賠償等請求(街宣活動の態様が不法行為に該当,請求一部認容)

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