リストラ退職勧奨の進め方

5分で分かる!人員整理のための退職勧奨の方法・進め方(書式あり)

退職勧奨は人員整理の有効な手段の一つです。しかし、方法を間違えると退職の無効(地位確認)や不法行為による損害賠償責任に問われるリスクがあります。正しい方法によれば、ターゲットを絞った人員整理が実現可能です。また、労働者からしても整理解雇を回避されるというメリットがあります。正しい退職勧奨の方法・進め方を説明します。

退職勧奨とは

退職勧奨の定義

退職勧奨は,働者の自発的に退職の意思を形成することを促す説得活動のことをいいます。つまり,使用者が一方的に当該労働者を辞めさせる(つまり解雇)のではなく,労働者が説得に応じて自ら退職する意思表示をした場合にはじめて効力が発生します。

労働者の自発的な意思に委ねられていますので、当然,労働者は,退職勧奨を受け入れる義務はなく、拒否することは自由です。

このように,退職勧奨はあくまで労働者の退職を促す行為を指すため,原則として労働法による規制はありません

したがって,使用者は退職勧奨については自由に行うことが可能です。

希望退職の募集との違い
会社側から、労働者に対して退職を勧め、労働者の自発的な意思による退職するという点では、希望退職の募集と共通します。しかし、希望退職が一定範囲の社員から一律に退職者を募集する方法であるのに対し、退職勧奨は特定の社員に退職を促す方法です。また、希望退職の場合は、上乗せ退職金の計算方法等、退職に応じた場合の条件が公表されるのが通常ですが、退職勧奨の場合は、対象となる従業員ごとに異なる条件を提示することが一般的です。

人員整理の手段としての退職勧奨

人員整理の手段には、一般に、次の9つの方法があります。

①配置転換
②出向
③転籍
④派遣社員の削減
⑤契約社員・パート社員の雇止め
⑥内定取消し
⑦希望退職募集
⑧退職勧奨
⑨整理解雇

⑧退職勧奨は、これら人員整理の手段の一つです。

そして、退職勧奨は、⑦希望退職の後の段階(希望退職では目標の人員削減数に達しなかった場合)⑨整理解雇の前段階の方法としてよく行われます

これは、いきなり⑧退職勧奨をすることで社員との間の緊張状態から紛争に発展する危険性を減らすという意味で、希望退職を先行して実施するといした方が⑨整理解雇の有効性との関係で解雇回避の努力義務を尽くしているとの判断を受けやすいという点から行われるのです。

退職勧奨のメリット・デメリット

退職勧奨のメリットは、

  1. 退職により人件費を削減できること
  2. 合意退職の形を取るのでリスクが整理解雇より圧倒的に低いこと
  3. ターゲットを絞って退職交渉するので、希望退職のように残ってもらいたい社員(キーマン)退職のリスクが低いこと、

です。

退職勧奨のデメリットは、

  1. 退職勧奨に際しては希望退職の場合と同様に退職金等を上乗せする等の退職パッケージを提示する場合があり、一時的なコスト増となる場合があること、
  2. 希望退職に比べて会社から社員に与えるプレッシャーが強いため社員の反発を招き紛争に発展するリスクがあること、
  3. 退職勧奨により目標の人員削減数に達しない場合に整理解雇に踏み切るか否かの決断を迫られること、

などです。

退職勧奨の進め方(流れ)

退職勧奨は一般的には以下のように進めます。

リストラ退職勧奨_流れ

以下、ポイントについて具体的に説明していきます。

退職勧奨の対象者の人選

人員整理手段としての退職勧奨を行う場合は、対象者の人選の合理性には注意が必要です。

人選が合理的であるためには、事前に定立した合理的な基準に基づいて人選を行う必要があります。

この人選基準は,整理解雇の段階で作成するのではなく、人員整理策の当初に策定する必要があります。例えば、人員整理として、希望退職の募集 → 退職勧奨 → 整理解雇 の流れを予定している場合は、希望退職の募集の準備段階で、整理対象の人員を選別する基準を定立する必要があるのです。

人員整理施策の最初から人選基準を定立することによって、希望退職募集の段階から一貫した基準で対応することができ、会社の人員整理策の合理性を高めることができます。ひいては、最終的に実施する整理解雇の有効性を高めることにもなります。希望退職・退職勧奨・整理解雇の各場面で人選基準がバラバラであったとすると、整理解雇の際の人選基準には合理性はなかったと判定される可能性が高まるのです。

退職勧奨が成功するか否かは,それまでに会社がどの程度解雇回避努力や説明等を尽くしてきたのか,対象者に選定理由を客観的・合理的に説明できるかにかかっているのです。解雇回避努力や説明義務を尽くしていれば尽くしているほど,従業員にとって退職勧奨は受け入れざるをえないものとなります(すなわち,拒否すれば整理解雇が有効となる可能性が高いといえるからです)。

退職勧奨の場合に提示する優遇条件

退職勧奨では、単に退職を勧めても退職が得られるものではありません。会社の財務状況に次第ですが、退職に応じた場合に優遇条件を提示することが一般です。

退職勧奨に応じた場合の優遇条件は、希望退職の募集の際に設定する優遇条件に準じて設定されます。

なお、希望退職の後に引き続き実施される退職勧奨の際に,希望退職と同条件での優遇措置を認めるかどうかは検討事項になりますが,退職条件を切り下げると対象者が退職勧奨に応じにくくなるため切り下げは困難であることが一般です。このため,希望退職の条件を維持して退職勧奨することになります(もっとも,交渉での話としては,「早々と希望退職に応募してくれた社員との関係で,本来は希望退職募集と同じ条件を出すことは難しい。しかし,特別に今退職勧奨に応ずるのであれば希望退職と同じ条件を維持します。」という話をしてもよいでしょう。)。

特別退職金

希望退職の募集に際しては、通常の規定退職金のほかに、特別退職金の上乗せをするのが通常です。この特別退職金が希望退職の募集の最大のインセンティブといっても過言ではなく金額の設定は非常に重要です。

では、特別退職金はいくらにするべきでしょうか。

民間データ

特別加算金の平均額(従業員規模別)
300人未満 258万円
300~999人 420万円
1000人以上 835万円
※ 労務行政研究所 労政時報4104号(21年5月)「コロナ禍における希望退職募集の実施状況」

特別退職金の金額設定については、詳細なノウハウがありますが、ポイントとしては次のとおりです。

まず、当然のことながら原資となる予算がありますが、各企業の資金状況(資金繰り)次第で特別退職金の予算の上限が決まります。

次に、金額設定については、各企業で辞めてほしい層のインセンティブとなる金額設定とします。例えば、賃金が割高になっている高い年齢層に退職のインセンティブを付けために、勤続年数や年齢に傾斜して条件を設定します。

例えば、次のように設定します。

年齢別加算金額
55歳以上:基本給✕4ヶ月
40歳以上55歳未満:基本給×3か月
30歳以上40歳未満:基本給×2か月
30歳未満:基本給給×1か月
勤続年数別加算金額
勤続年数15年以上:基本給×4か月
勤続年数7年以上15年未満:基本給×3か月
勤続年数3年以上7年未満:基本給×2か月
勤続年数3年未満:基本給×1か月

経過賞与

ほとんどの企業では、賞与については就業規則(賃金規程ないし賞与規程)に支給日在籍要件の定めをしています。つまり、賞与の支給日に在籍していない者には賞与を支給しないという定めです。

退職勧奨に応じた場合の退職日が賞与の支払日よりも前でかつ近いと、応募人数に影響します。

たとえば、ある会社の夏季賞与の査定期間が前年12月1日から当年5月末日、支給日が7月1日で支給日在籍要件が設定されていたとします。

この場合、退職勧奨を4月1日から開始し、5月末日が退職日であるとすると、希望退職募集に応募すると、夏季賞与の算定期間在籍したにもかかわらず、夏季賞与の支給がなされないことになり、退職勧奨へ応ずることを控える可能性が高まります

そこで、賞与の支給日在籍要件の関係で応募控えが出ないように設定するのが経過賞与の考え方です。

上記例でいえば、希望退職に応募して5月末に退職する場合は、7月1日支給予定であった賞与を満額支給することを退職勧奨に応ずる条件として設定します。

実際の経過賞与の設定にあたっては、

経過賞与額を、①一律金額を設定するか、②直前の賞与実績で決めるか、③各人で査定して決めるかという点や、

賞与算定期間途中での退職の場合に、在籍期間の割合で支給するか(例えば、上記例で3月末が退職日の場合は、6分の4の割合で支給する)

などを検討します。

有給の買取り

まず前提として、希望退職を実施する際に有給の買取が義務というわけではありません

もっとも、退職勧奨に応ずる場合に残有給を全部消化するとなると、会社は法的には応じざるを得ません。そうなると、退職勧奨に応じた社員に引継ぎをしてもらう時間がなくなり、業務に支障が生ずる場合があります。

そこで、引継ぎ等の残務を行ってもらう必要がある場合は、年休の買い取りを応募者に提案して、社員が応ずる場合は合意します。

合意では、買い取りの日数や単価について具体的に定めます。

再就職支援

希望退職へ応募するに際して、再就職は社員の重大な懸念事項です。再就職への不安から応募を控えることはよくあることえす。

そこで、このような社員の不安を緩和し希望退職への応募をしやすくするための配慮が再就職支援です。

再就職支援は、①当該会社のグループ企業や関連企業への再就職のあっせんや、②再就職支援企業を会社の費用負担で利用できるようにすることが、よくある方法です。

①の再就職あっせん

再就職のあっせんは、あくまでも再就職先をあっせんするだけであり、再就職を確約するものではありません。あっせん先企業の採用基準によって採否が決定されますので、確実に再就職できるという誤解を与えないように注意が必要です。

あっせんにより再就職できた場合は、特別退職金の金額を低く設定するという方法もあります。

②再就職支援企業

退職勧奨に際して、退職条件の1つとして、企業の負担で再就職支援企業を利用できることを加えることはよくあることです。

ただ、再就職支援企業のサービス内容は、企業が負担する費用に応じてピンキリです。会社の予算の範囲内での利用となります。

なお、再就職支援会社へ支払う費用は、社員一名あたり50万円~100万円程度と言われています。再就職支援については、国の助成金労働移動支援助成金(再就職支援コース))が活用できますので、こちらもご検討ください。

応募者によっては、「自分で再就職先を探すので、再就職支援サービスを条件にするなら、その費用を退職金に加算してほしい」という者もいます。それに応ずるか否かは企業の選択になりますが、応じなくともよいです。

退職勧奨実施のリスク・注意点

退職勧奨のリスク

退職勧奨が法的な規制はなく自由に行えるといっても、退職強要になってはなりません

退職強要のリスク

  1. 退職強要によって退職をさせても、退職が取り消される場合がある(参考記事:「解雇をちらつかせて提出させた退職届は取り消されるか?」
  2. 退職強要が不法行為に該当するとして損害賠償(30万円~400万円など)を請求される(参考記事:「経営者必見!退職勧奨の進め方(書式あり)」
  3. 退職勧奨によって労働者が地域合同労働組合や労働弁護士事務所へ駆け込み、紛争に発展する

このように退職強要にならないように注意して進める必要があります。

具体的な注意点は次のとおりです。

退職勧奨の進め方の注意点

① 就業時間中に社内の会議室等で面談を行うこと

就業時間外や、社外における退職勧奨は、強制の要素が入り得る

② 会社側の人数は絞ること

直属の上司1名、人事担当者1名の合計2名程度を上限とする

③ 面談の時間・頻度は限定すること

1回の面談は30分以内長くても1時間程度とし、面談の頻度は週に2回程度を目安とする

退職勧奨は対象従業員本人に対して行うべきであり、近親者などを介して説得することは避ける

④ 面談の内容は録音(ICレコーダーなど)しておくこと

後になって無理矢理退職させられたなどといって意思表示の瑕疵を争われた場合に証拠として使える

⑤ 退職勧奨を拒否することが明白な場合は停止する

退職勧奨に応じた場合のメリット等を十分に理解させるため、複数回にわたり面談することは許容されますが、対象従業員がこれを理解したうえで、明確に退職勧奨を拒否する意思を表明した後は、勧奨行為をやめる

退職勧奨で用いる言動の注意点

① 解雇の意思表示ととられる言動はしない

NG例
「退職しなければ、解雇します」
「明日から会社に来なくていい」
「あなたの席はこの会社にはない」
OK例
「ご白身のために、退職をお勧めします」
※解雇ではなく、本人の自由意思で判断してもらう。

② 同意を強要するような言動はしない

NG例
「退職に同意するまで、面談をやめないぞ」
「退職に同意するまで、帰らせないぞ」
「退職に同意するまで、仕事は何もしなくていい」
OK例
「退職するか否かは最終的にご自身で判断してください」
※本人に不当な心理的圧迫を加えず、自由意思
で判断してもらう。

③ 人格を傷つける言動(名誉感情の不当侵害)はしない

NG例
「精神がおかしいのでは」、「社員として失格」、「不要」「寄生虫みたいだ」、「給料泥棒」、「役立たず」「会社には無駄飯を食わせる余裕はない」
OK例
「会社の外で才能を活かしてみてはどうですか」
※相手の人格を尊重し、退職に協力してもらうという姿勢で臨む。

④ 対象者の判断を誤導する言動はしない。

NG例
「同意しなければ、○○(虚偽の情報、例えば解雇や配置転換)ということになる」
「対象者で同意していないのはあなただけだ」
OK例
「他の方の動向は申し上げられません。また、ご家族と相談するのは結構ですが、最終的にご自身で判断してください」
※正確な情報を前提として、他の社員の動向に関係なく、自身の判断で決めてもらう

 

退職勧奨に応ずる場合

社員が退職勧奨に応じて退職することになった場合は、退職願の提出を求めることで完結させる場合もあります。もっとも、退職の条件と合意内容を明確にしておくため、退職合意書を締結することをお勧めします。

退職合意書

従業員が希望退職の募集に応じて退職することとなった場合、希望退職の申請書に加えて、退職願の提出を求めることで完結させる場合もあります。もっとも、退職の条件と合意内容を明確にしておくため、退職合意書を締結することをお勧めします。

 

退職合意書

○○株式会社(以下「甲」という。)と○○(以下「乙」という。)は、以下の条件による乙の退職につき合意した。
第1条(合意退職)
1 甲と乙は、甲の退職勧奨に応じて、乙が甲を○年○月○日付で退職することを合意する。
2 甲が発行する離職票の離職理由は「事業主からの働きかけによるもの」「(3)希望退職の募集又は退職勧奨」「①事業の縮小又は一部休廃止に伴う人員整理を行うためのもの」とする。
3 乙の最終出勤日は○年○月○日とし、乙は同日までに必要な引継ぎ等を完了させ、甲は退職日までの賃金を通常どおり支払う。
第2条(退職金)
甲は、乙に対して、会社都合退職扱いで計算した通常退職金〇〇〇円に加え、特別退職金(退職日までの労働契約上の債務の包括的な清算金の趣旨を含む)として金□□円を支払う。
第3条(経過賞与)
甲は、乙に対して、○年度夏季賞与の経過賞与として○○円を支払う。
第4条(残有給休暇買上金)
甲は、乙に対して、退職日における乙の有給休暇未消化日数については、○日を限度として、1日あたり金○円で買い上げることとし,同金員を支払う。
第5条(支払期日等)
甲は、前3項の退職金、経過賞与、残有給休暇買上金から、所得税、地方税等法令上必要な源泉徴収を行った残額を、乙が本合意書上の全ての義務を履行することを条件に、○年○月○日限り、乙の給与振込先銀行口座に支払う。なお、振込手数料は甲の負担とする。
第6条(その他義務)
1 乙は、甲が乙に貸与した従業員証、入館証、社章、業務用パソコン、業務用携帯電話、業務用の書類、その他甲の所有物の全てを○年○月○日までに甲に返還する。
2 乙は、甲が指定する書式の「秘密保持に関する誓約書」に署名、押印の上、○年○月○日までに甲に提出し、その内容を遵守することを約束する。
第7条(清算条項)
甲及び乙は、本合意書に定める事項のほか、一切の債権債務がないことを、相互に確認する。
この合意を証するため,本書2通を作成し,甲乙両各署名(記名)押印の上,各その1通ずつを保有する。
2021年8月31日

住所 東京都千代田区神田・・・
○△商事株式会社
代表取締役 ○野△太郎 印

住所 東京都墨田区・・・・・・
甲野 太郎       印

秘密保持誓約書

株式会社●●
代表取締役 ●●● 様

退職後の秘密保持に関する誓約書

私は   年  月  日付にて貴社を退職いたしますが、貴社の秘密情報等に関して、次の事項を遵守することを誓約いたします。

第1条(秘密保持の確認)
私は貴社を退職するにあたり、以下に示される貴社の営業上又は技術上の情報(以下「秘密情報」)について、原本はもちろん、そのコピー、電磁的記録及び関係資料等を、貴社に返還し、自ら保有しないことを確認いたします。
(1) 業務上で取り扱う貴社の保有する個人情報又は営業機密(取引先の情報を含む)
(2) 貴社の財務,人事,組織等に関する情報
(3) 貴社と他社との業務提携及び取引に関する情報
(4) 貴社の役員、従業員等(正社員のみならず、パート・アルバイト、契約社員及び派遣社員を含む。)、採用応募者等,退職者及び顧客の個人情報(個人番号を含む。)
(5) 営業秘密等管理責任者により秘密情報として指定された情報
(6) 前各号のほか、貴社が秘密保持対象として指定した情報一切

第2条(秘密情報の帰属)
秘密情報については、私がその秘密の形成、創出に関わった場合であっても、貴社の業務上作成したものであることを確認し、当該秘密の帰属が貴社にあることを確認いたします。この場合において、当該秘密情報について私に帰属する一切の権利を貴社に譲渡し、その権利が私に帰属する旨の主張をいたしません。

第3条(退職後の秘密保持の誓約)
第1条各号の秘密情報は、退職後においても、開示,漏洩又は使用しないことを約束いたします。

第4条(損害賠償)
本誓約書の各条項に違反して、貴社の秘密情報を開示、漏えい又は使用した場合、法的な責任(民事及び刑事問わない)を負担するものであることを確認し、これにより貴社が被った一切の損害(社会的な信用失墜を含みます。)を賠償することを約束いたします。

年  月  日
住所:○○県○○市○○町○丁目○番○号
署名:               ㊞

退職勧奨に応じない場合

最終的には整理解雇

希望退職の募集や退職勧奨によっても削減人数に満たない場合は,やむをえず,事前に定立した人選基準に従い,整理解雇を断行することになります。

なお、会社が倒産状況にある場合であっても、整理解雇する場合は整理解雇法理が適用されることには注意してください。

裁判例でも、紡績業と不動産業を営んでいた会社が,再生手続開始を申立後,紡績業部門を廃業するとして,同部門に従事していた従業員をほぼ全員を解雇したことにつき,整理解雇の4要素に照らして解雇を無効とした判決がありますので注意が必要です(山田紡績事件 名古屋高判平18.1.17,労判909号5頁)。

また、整理解雇実施後に,新規に役員を迎えたり,新規の雇用を行うことにも注意が必要です。この場合,まさに人員削減の必要性があったのかが問われることになるからです。

すなわち、「人員削減措置の決定後,大幅な賃上げや,多数の新規採用や,高率の株式配当を行うなど,素人の目から見ても明瞭に矛盾した経営行動がとられた場合」に人員削減の必要性が否定され整理解雇が無効となる可能性が高いので注意してください。

まとめ

以上おわかりいただけましたでしょうか。

今回は、退職勧奨の方法と注意点について解説しました。

ご参考にして頂ければ幸いです。

 

 

 

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