労働判例INDEX(2020年1月)

2020年1月に公刊された判例雑誌(労判、判タ、労経速、判時、労判ジャーナル)から労働裁判例の目次を整理しました。

労働判例 2020年1月1日・15日合併号 No.1211

学校法人中央学院(非常勤講師)事件(東京地裁令元.5.30判決)

非常勤講師と専任教員との労働条件相違と労契法20条違反の有無等(請求棄却)

※本棒について専任教員との金額の差が3倍を許容
その他の事情として,(a)労使交渉によって非常勤講師の待遇改善がなされた経緯,(b)私立大学等の国庫補助金について専任教員と非常勤講師とで差が設けられて金額設定されていること,(c)他大学の非常勤講師との賃金水準との比較,を考慮。

※賞与不支給を許容
業務内容や責任の相違のみならず,兼職禁止(職務専念義務の度合)の相違を考慮

※家族手当・住宅手当不支給を許容
専任教員として相応しい人材を安定的に確保するために,専任教員に福利厚生の面で手厚い処遇をすることに合理性がないとはいえず,兼職禁止の有無も理由となる。

アルバック販売事件(神戸地裁姫路支部平31. 3.18判決)

配転命令・解雇の有効性ならびに就業規則変更に伴う賃金減額等(請求大部分認容)

太陽家具百貨店事件〈付 原審〉(広島高裁平31. 3. 7判決,広島地裁呉支部平30. 3.30判決)

店長代理の急性大動脈解離による死亡と業務起因性(請求認容)

※労働時間の算定については厚生労働省が平成15年3月に発出した脳・心臓疾患の労災認定実務要領に記載された算出方法に準拠する旨の判示あり。

国・中労委(学校法人文際学園[非常勤講師])事件(東京地裁平31. 2.28判決)

法人職員らによるビラ配布妨害行為の不当労働行為該当性(不法行為該当)

判例タイムズ 146号 2月号 (2020年1月25日発売)

東京高裁令元.6.26判決

私立大学の女子大学院生が単身居住するマンションの一室に当該大学の教授が一晩滞在した行為及びその後に当該教授が当該女子大学院生宛にメールを繰り返し送信し,食事に誘った行為が,いずれもセクハラ,アカハラに該当するものとして懲戒事由に当たり,当該教授に対する5年間の准教授への降格処分が有効であると判断された事例

※國學院大學 原審東京地判H31.1.24 

大阪地裁令元.5.15判決

長期間にわたって1か月当たり250時間を超える時間外労働に従事していた調理師が,ウイルス性の劇症型心筋炎を発症したことについて,業務起因性が認められた事例

東京地裁平30.6.27判決

1 団体交渉中の労働組合執行委員長の使用者に対する発言や民事保全事件への陳述書の提出などにより名誉や信用が棄損されたとしてされた損害賠償請求が棄却された事例(本訴)
2 上記本訴は労働組合執行委員長を狙い撃ちし労働組合の弱体化を図る目的でされた不当訴訟であるとしてされた損害賠償請求が棄却された事例(反訴)

東京地裁平30.6.8判決

転居命令に従わなかったことを理由とした解雇が無効とされた事例

※ 従業員は東京本社から茨城工場への配転命令に従ったものの,片道3時間の通勤時間が過度の負担になるとの理由で,茨城工場付近への「転居」を命じたが,これに従わなかったことを理由としてなされた解雇が無効とされた。裁判所は会社には「配転命令」のみならず,「転居」命令権も存することを前提に,配転権濫用法理に則り,濫用の有無を判断している。しかし,本来転居するか否かは労働者の私的領域の事項であり,命じられた配転先において労務提供が出来るのであれば,仮に通勤に往復6時間要するとしても,居住地の選定は労働者の自由である。よって,本来的に,使用者には「転居」命令権はない。上記事案でも就業規則の記載から「転居」命令権を読み取ることはできないと考えられ,この点に裁判所の判断の誤りがあると思われる。配転権濫用の判断をするまでもなく,転居命令の権限がないと判断するべきだったと考える。

東京地裁平30.5.31判決

労働者災害補償保険法における労働者の意義

労働経済判例速報(1/10)2397号

三村運送事件 東京地裁(令和元年5月31日)判決

トラック運転手のサービスエリア等滞在時間が労働時間にあたらないとされた例

北九州市営バス事件 福岡地裁(令和元年9月20日)判決

バス運転手の待機時間が概ね労働時間にあたらないとされた例

すみれ交通事件 横浜地裁(令和元年9月26日)判決

定年後再雇用のタクシー運転手の雇止めが有効とされた例

ゼグウ事件東京地裁(平成31年1月22日)判決

山梨県民信用組合事件判決等をふまえて、退職勧奨を受けて退職届を提出した労働者の退職の意思表示が有効とされた例(退職勧奨を受けて退職届を出した場合には,労働条件不利益変更法理の適用はないことを判示した)

労働経済判例速報(1/20)2398号

学校法人C事件 東京地裁(令和元年5月30日)判決

大学非常勤講師への賞与、家族手当、住宅手当等の不支給が労働契約法20条に違反しないとされた例

アルパイン事件 東京地裁(令和元年5月21日)判決

定年後の再雇用に関する雇用契約関係の存在が否定された例

労働経済判例速報(1/30)2399号

公立大学法人会津大学事件 東京地裁(平成31年4月24日)判決

アカデミック・ハラスメント行為を認定し、減給処分が有効とされた例

学校法人工学院大学事件 東京地裁(令和元年5月29日)判決

准教授による学生へのハラスメント行為を理由とした減給処分が有効とされた例

判例時報 No.2424 2020年1月1日号

最高裁判所第一小法廷(平成31年4月25日)判決

使用者と労働組合との間の合意により当該労働組合に所属する労働者の未払賃金に係る債権が放棄されたということはできないとされた事例

判例時報 No.2426 2020年1月21日号

東京高裁(平成30年12月13日)判決 原審 東京地判平29・9・14

1 有期契約労働者と無期契約労働者との労働契約の相違について、年末年始勤務手当、新人事制度導入後の住居手当、夏期冬期休暇及び病気休暇に関する相違は不合理と認められるものに当たるとされた事例
2 前記1にいう不合理な相違が、不法行為を構成するとされ、両手当相当額全額及び病気休暇に代えて無給の承認欠勤又は有給休暇を使用した日の賃金相当額の損害が認められ、夏期冬期休暇の相違による賃金相当額の損害及び病気休暇の相違による慰謝料が認められなかった事例

東京地裁(平成30年7月5日)判決

育児休業後のパート契約(有期雇用契約)への変更及びその後の解雇が育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律23条、23条の2に違反する違法、無効なものであるとされ、これらの取扱いについて不法行為の成立も認められた事例

労働判例ジャーナル 94号(2020年・1月)

ジャパンビジネスラボ事件 東京高裁(令和元年11月28日)判決

正社員であった女性従業員が育児休業後に契約社員となった際の会社との合意は、正社員契約を解約するものであり、育介法に違反するものではなく、女性従業員の自由な意思に基づくものであり、錯誤もなく、また、停止条件付き無期労働契約の締結及び正社員復帰に関する合意を含むものではないとされた例

ロピア事件 横浜地裁(令和元年10月10日)判決

不相当に重い処分がなされたものとして、懲戒解雇無効地位確認請求が認容され、未払賃金等支払請求及び損害賠償等請求が一部認められた例

大岡寺・圓満院事件 大津地裁(令和元年10月3日)判決

建物明渡等請求が斥けられ(甲事件)、解雇無効地位確認請求及び配転先に勤務する義務の不存在請求が認められ、未払賃金等支払請求が一部認められた(乙事件)例

国・法務大臣(防衛大学校)事件 福岡地裁(令和元年10月3日)判決

安全配慮義務違反はなかったとして、本防衛大学生の国に対する損害賠償請求が斥けられた例

しんわ・ほか2社事件 横浜地裁横須賀支部(令和元年9月30日)判決

介護職員らの加算金等による処遇改善相当額支払等請求が斥けられた例

愛知県公立大学法人事件 名古屋地裁(令和元年9月30日)判決

元准教授の解雇無効地位確認等請求が認められ、慰謝料等請求が斥けられた例

国・堺労基署長事件 大阪地裁(令和元年9月30日)判決

障害等級14級とした障害給付支給処分の取消請求が斥けられた例

豊田中央研究所事件 名古屋地裁(令和元年9月27日)判決

解雇事由に該当するとして、解雇無効地位確認等請求が斥けられ、また、損害賠償等請求も斥けられた例

国・高崎労基署長事件 前橋地裁(令和元年9月26日)判決

Aは労働者災害補償保険法の「労働者」に該当し、本件疾病に業務起因性が認められるが、症状固定しているとして、障害補償不支給処分取消請求が認められ、療養補償不支給処分取消請求は斥けられた例

狩野ジャパン事件 長崎地裁大村支部(令和元年9月26日)判決

未払賃金等支払請求、付加金等支払請求、慰謝料等支払請求が一部認められた例

※月100時間以上の時間外労働(150時間以上の月も8ヶ月存する)を強いられたことは,安全配慮義務違反になるとしつつ,「結果的に原告が具体的な疾患を発症するに至らなかったとしても,被告は,安全配慮義務を怠り,2年余にわたり,原告を心身の不調を来す危険があるような長時間労働に従事させたのであるから,原告の人格的利益を侵害したものといえる。  被告の安全配慮義務違反による人格的利益の侵害により原告が精神的苦痛を受けたであろうことは容易に推察されるところ,本件に顕れた諸般の事情を考慮すると,上記精神的苦痛に対する慰謝料は,30万円をもって相当と認める。」と判示した。

北九州市(市営バス)事件 福岡高裁(令和元年9月20日)判決

待機時間の1割が労働基準法上の労働時間であるとして、未払時間外割増賃金等支払請求が一部認められ、他方、付加金等支払請求が斥けられた例

GWG事件 大阪地裁(令和元年9月17日)判決

未払時間外割増賃金等支払請求及び付加金等支払請求が一部認められ、損害賠償等請求が斥けられた例

大和ハウスフィナンシャル事件 大阪地裁(令和元年9月12日)判決

本件疾病の業務起因性を認めることができず、また、安全配慮義務違反も認められないとして、損害賠償等請求及び退職無効地位確認等請求が斥けられた例

社会福祉法人千草会事件 福岡地裁(令和元年9月10日)判決

未払賃金及び退職金等支払請求が一部認められ、損害賠償等請求が斥けられ(本訴)、損害賠償等請求が斥けられた(反訴)例

日本生命保険相互事件 大阪地裁(令和元年9月5日)判決

元従業員の主張する各請求権が発生するものとはいえないとして、損害賠償等請求が斥けられた例

万和事件 大阪地裁(令和元年9月5日)判決

未払賃金等支払請求及び解雇予告手当等支払請求が認められ、付加金等支払請求が一部認められた例

トモエタクシー事件 大阪地裁(令和元年9月2日)判決

分担金請求及び損害賠償等請求を棄却した原判決は相当である等として、控訴が斥けられた例

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