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会社が労働審判の費用に関して知っておきたい4つのこと

会社に第1回労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告状が届いた。

速やかに弁護士に依頼をしたいが,どのくらいの費用がかかるのか不安だ。

こんなことでお悩みの会社・社長も多いことでしょう。

そこで,今回は労働審判を申し立てられた会社にかかる費用について分かりやすく説明したいと思います。

1. 弁護士に依頼しないで労働審判を対応した場合にかかる費用は?

① 弁護士費用

まず,弁護士を選任しない場合は,当然のことながら弁護士費用は発生しません。

② 出頭費用 裁判所への交通費程度

裁判所へ出向く費用は交通費くらいであり距離にもよるが数千円程度です。

なお,労働審判手続を利用する手数料は,事前に社員(労働者・申立人)が裁判所へ納付することになっています。会社側は,労働審判手続に参加する際に負担することは求められません。

以上のとおり,弁護士に依頼しない場合,弁護士報酬等の費用がかからない為,コストの節約になります。

しかし,その反面,答弁書や証拠の収集などを会社・社長自ら行う必要がありますので,自分で法律や答弁書の書き方を調べつつやるとすると,30時間~50時間の作業量となり,費用に重い負担となります。また,法律的に正しい主張なのか不安も残ります。

さらに,労働審判手続で,会社の主張が認められなければ,社員(労働者側)の主張に沿った労働審判又は調停案が裁判所(労働審判委員会)から出されることになります。

その金額は少なくても数十万円,多くて1000万円を超えることもざらにあります。

多くの場合,社員(労働者)側は弁護士をつけて申立をしてきます。弁護士をつけて(弁護士費用を支払って)申し立てをしてくる以上,何らかの勝算があって行って行っている可能性が高いといえます。

そして,労働審判事件は非常に専門性の高い複雑な事件であり,会社側の素朴な意見や社長の感情論を訴えても,裁判所(労働審判委員会)に冷たくあしらわれることも多くあります。

そこで,会社側も法律的に論理武装した上で戦わなければ,社員(労働者)の言い値どおりの金額を払わされかねなません。つまり,弁護士を選任することが事実上必須であるといっても過言ではないのです。

労働審判手続の経験豊富な弁護士に依頼することによって,事案によっては数百万円の振り幅で結論が変わることだってあり得るのです。

つまり,弁護士を頼まないことにより削減できるコストより,遙かに大きなコストが発生する可能性が高いのです。

また,弁護士に依頼すれば,答弁書の作成や戦略の立案など,手続に関する作業は全て弁護士に任せることが出来ますし,何よりも心強い味方を得ることができますので,その分大幅に会社・社長の負担を減らすことができます。

そこで,次に弁護士を依頼することを前提とした費用について説明します。

2. 労働審判の弁護士費用は一律に決まっている?

弁護士報酬は自由化されており,各弁護士が自由に報酬の基準を決めることができるようになっています。

かつては,弁護士報酬は日弁連が定めていた報酬規定(「旧報酬規定」と呼ばれています。)に従うこととされていました。しかし,平成16年4月に改正され,弁護士報酬は自由化されました。

よって,依頼に際しては,各弁護士,各法律事務所が独自で定める報酬基準を確認する必要があります。ここは重要なポイントです。

ただ,現時点でも旧報酬規定に準拠している弁護士や法律事務所が多くあり,事実上報酬金の相場と言える場合が多いです。

そこで,本稿では,便宜上,旧報酬規定を参考として相場の説明を行うこととします(注1)

3. 会社が労働審判を弁護士に依頼する際にかかる弁護士費用の種類と相場について

会社が労働審判を弁護士に依頼する際にかかる費用は,次の4つです。

① 相談料

② 着手金

③ 報酬金

④ 実費

この一般的にはこの4つの費用の合計が弁護士に相談・依頼する際に発生する費用となります。

3.1 ①相談料

⑴ 相談料とは?

弁護士に法律相談をするには弁護士費用がかかる。

⑵ 相談料の相場は?

相談料の相場としては、30分5,000円(税抜)が多いです。

⑶ 無料法律相談もある

法律事務所によっては初回の相談料を無料にしているところもあります。

3.2 ②着手金

⑴ 着手金とは?

着手金とは、弁護士に依頼をする当初に支払う必要がある費用です。

簡単に言えば,弁護士の職務に対する対価の前払い分ということになります。この金額は,弁護士の職務に対する最低限の対価という意味を持つことも多く,途中で弁護士の依頼を取りやめた場合でも返還されないことも多いです。

⑵ 着手金の相場は?

着手金の相場は,経済的利益によって以下のとおり定められることが多い(旧報酬規定)。

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着手金における経済的利益とは,社員(労働者)が労働審判手続申立書において会社に対して請求している金額となるのが一般です。

具体例1(残業代請求事件の場合)

社員(労働者)が会社に対して,残業代500万円と遅延損害金を請求してきた場合

経済的利益:5,000,000円

着手金の額:5,000,000円 × 5% + 90,000円 =340,000円(税抜き)

 

具体例2(地位確認請求事件の場合)

月収30万円の社員(労働者)が会社に対して解雇の無効を主張して地位確認と解雇後の賃金を請求してきた場合

経済的利益:地位確認(360万円)+賃金請求(360万円)=7,200,000円

着手金の額:7,200,000円 × 5% + 90,000円 = 450,000円(税抜き)

※地位確認は算定不能につき最大で800万円と算出されます。具体的には委任時に当事者で協議して決めることになります。上記では月給の1年分(360万円)としています。

※賃金請求は継続的給付債権として債権総額の10分の7(期間不定のものは7年分)が目安とされています。具体的には委任時に当事者で協議して決めることになります。上記では月給の1年分(360万円)としています。

⑶ その他の算出方式

① タイムチャージ方式

時間単価を設定して,受任事件に関する弁護士の所用時間を乗じて報酬を算出する方式です。対応する事件にかかる時間が読みにくい案件に用いられるほか,企業法務系の大手法律事務所において採用される方式です。

単価は弁護士・法律事務所によって区々で,リーズナブルな事務所で約2万円~3万円/時間,大手法律事務所で5万円~10万円/時間とされることもあります。

② 固定費用方式

着手金・報酬金を固定して設定する事務所も希ながら存在する。

上記旧報酬規定による算出やタイムチャージ方式では,最終的な企業のコストが見えにくいというデメリットがあります。

そこで,報酬を一定額の固定で提示されることは企業によって予算管理上極めて合理性があります。

※ 当事務所(吉村労働再生法律事務所)では,あらゆる類型の労働審判手続に精通し準備を合理化できていることや労働審判手続が原則3回で終了するという特殊性があることに鑑み,固定報酬制を採用している。これにより,多くの企業に支持を得ています。

3.3 報酬金

⑴ 報酬金とは?

報酬金は、事件の終結後に発生する費用です。

⑵ 報酬金の相場

報酬金の相場も,旧報酬規定では経済的利益によって定められることが多いといえます。

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具体例1(残業代請求事件の場合※着手金の例参照)

労働審判又は調停により残業代100万円の支払いを命じられた場合

経済的利益:社員(労働者)の請求額500万円-100万円(調停又は労働審判)=400万円

報酬金の額:400万円 ×10% + 180,000円=580,000円(税抜き)

着手金との合計:920,000円(税抜き)

 

具体例2(地位確認請求事件の場合※着手金の例参照)

労働審判又は調停により残業代180万円(月給の半年分)の支払いを命じられた場合

経済的利益:社員(労働者)の請求額720万円-180万円(調停又は労働審判)=540万円

報酬金の額:540万円 × 10% + 180,000円=720,000円(税抜き)

着手金との合計:1,170,000円(税抜き)

※地位確認と賃金請求の経済的利益の考え方は上記着手金の例をご参照ください。

⑶ その他の算出方式

① タイムチャージ方式

時間単価を設定して,受任事件に関する弁護士の所用時間を乗じて報酬を算出する方式です。対応する事件にかかる時間が読みにくい案件に用いられるほか,企業法務系の大手法律事務所において採用される方式です。

単価は弁護士・法律事務所によって区々で,リーズナブルな事務所で約2万円~3万円/時間,大手法律事務所で5万円~10万円/時間とされることもあります。

具体例

労働審判手続に関して発生した弁護士の所要時間が60時間の場合

120万円~600万円(税抜き)

② 固定費用方式

前記のとおり着手金・報酬金を固定して設定する事務所も希ながら存在します。

当事務所(吉村労働再生法律事務所)も上記のとおり固定報酬制を採用しています。

手続全てを通じて着手金・報酬金込みで60万円(税抜き)

3.4 実費

⑴ 実費とは?

弁護士が受任事件を処理する為に必要な費用です。例えば,交通費,郵送料,印刷料,手数料等になります。

⑵ 実費の相場は?

実費は実際にかかった費用ですので,予め定められることは希ですが,概ね数万円の範囲であると考えられます。

⑶ 当事務所(吉村労働再生法律事務所)の場合

平均して1万円~2万円程度のことが多い。

4. 弁護士費用を決める重要なポイント

⑴ 事前に見積をもらう

上記のとおり弁護士費用は弁護士・法律事務所によって基準や金額が異なります

また,報酬金額の基準が存在して,ホームページ上に明記されていても,最終的にどの程度の金額になるのかが一般の皆様には分かりにくいことが多いでしょう。ホームページ上に基準すら掲載していない弁護士・法律事務所も多いのが実情です。

これでは,会社として,予算が立てられず,依頼に際して不安を持つのも無理はないといえます。

そこで,依頼を検討している弁護士・法律事務所に対して,遠慮することなく,事前に必ず見積書を発行してもらいましょう

現在の弁護士報酬に関する日弁連の規程においても,

”第四条 弁護士等は、法律事務を依頼しようとする者から 申出があったときは、その法律事務の内容に応じた報酬見積書の作成及び交付に努める。”

との規定がなされています。つまり,報酬見積書の作成・提出は弁護士等の義務となっているのです。

⑵ 最終的には費用対効果を考えつつも,信頼できる弁護士に依頼する

弁護士費用が分かっても,金額だけで弁護士を選ぶわけにはいきません。

いくら弁護士報酬が安くても,会社にとって最善の弁護活動が出来ないのであれば,却って会社に損害が発生することもあります。

弁護士の力量によって,結論が左右されるという事象を筆者な何度も実体験してきました。特に結論が見えない事案においては,弁護士の能力や経験の差によって結論が左右することも実際には存在します。

そこで,弁護士報酬の金額のみならず,その弁護士が信頼に足るかを見定めて,最終的には決定するべきでしょう。

その為には,是非,法律事務所に足を運んで,まずは相談をしましょう。

会社として不安に思っていることや,疑問点を遠慮せずにぶつけてみてください。担当してくれる弁護士の経験(これまで担当してきた事件や解決実績など)や専門性(労働法の専門雑誌への寄稿の有無や本数など)を聞いても良いでしょう。

そして,回答の内容や回答する際の弁護士の表情などを良く観察してください。この弁護士に任せても良いと思える弁護士に依頼をするべきでしょう。

最後は会社としての「人を見る目」で判断した方が正しいことも多いといえます。

いくら立派な経歴や解決実績を並べている弁護士であっても,規模の大きい法律事務所の弁護士であったとしても,「ちょっと人としてどうかな」「何か違和感があるな」と思うのであれば,依頼をする必要はありません。直感があたっていることも多いのです。

依頼をせずに相談だけで終わらせても,発生するのは相談料だけです。

5 会社の労働審判の費用まとめ

今回は会社の労働審判の費用について説明してきたが、いかがでしたでしょうか?

今回の話が会社の労働審判費用について知りたい会社・社長のご参考になれば幸いです。

※1 上記のように報酬金額は弁護士や事務所によって異なり厳密な意味での相場というものは存在しません。上記記事の具体例はあくまでも参考として理解していただき,実際には各弁護士・法律事務所に見積を取得するなどして確かめてください。

【吉村労働再生法律事務所の労働審判手続費用】

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