TEL:0120-3131-45

労働問題の取扱分野の一覧 労働審等

弁護士による労働問題Q&A

所長・弁護士紹介 顧問契約 労働問題 キャンペーン 労働問題トラブル診断シート 依頼者の声 労働問題 労働審判 弁護士

吉村労働再生法律事務所

労働問題に強い弁護士所在地
〒101-0053
東京都千代田区神田美土代町11-12
ニチヨビル6F
受付時間

平日・土曜 9:30~21:00
日曜・祝日 ご要望により対応可能
24時間無料法律相談予約受付

電話番号

TEL 0120-3131-45
FAX 03-3518-6059

退職金はもらえるのか?

ご質問

当社では、退職金の支給基準を定めた就業規則や労働協約などは存在しないのですが,退職者によっては、その功労に報いるために、退職金の支給を行ったこともありました。今般、退職することになった従業員より退職金の請求がなされましたが、応じなければならないでしょうか?

回答

就業規則や労働協約などの定めがない場合でも,慣行,個別合意,従業員代表との合意などにより,退職金の支給金額の算定が可能であれば,退職金の請求ができることもあります。

  • 退職金請求権が認められるためには、就業規則、労働協約、労働契約などの根拠が必要である。
  • 就業規則、労働協約の定めがなくとも、慣行、個別合意、従業員代表者との合意などにより定まっていれば、根拠となる場合がある。

解説

1.退職金の法的性格

退職金は,労働協約,就業規則,労働契約などでそれを支給することや,支給基準が定められている場合は,使用者に支払義務のあるものとして(労基法上の賃金に該当し),賃金に関する労基法上の保護を受けます。
また,わが国の退職金は,算定基礎賃金に勤続年数別の支給率を乗じて算定されることが多く,賃金の後払い的性格を有するとされています。但し,会社都合退職の方が自己都合退職より支給額が多かったり,懲戒事由などがあるときは減額ないし不支給になったりする場合があることから,功労報酬的な性格も有しているとされています。

2.退職金の発生根拠

労基法には退職金請求権の直接の根拠規定がないので,労働協約,就業規則,労働契約などの根拠が必要です。但し,就業規則や労働協約などの定めがない場合でも,慣行,個別合意,従業員代表との合意などにより,支給金額の算定が可能な程度に明確に定まっていれば,労働契約の内容になっているといえます。

3.退職金の支払時期

使用者が就業規則で退職金の支払時期を定めた場合はそれによります。但し,退職金が労基法上の賃金に該当する場合で,特段の定めがない場合には,権利者(労働者もしくはその遺族)の請求があれば,7日以内に支払わなければなりません。支払時期を過ぎると,遅延損害金が発生します。

5.退職金の放棄・相殺

退職に際して,労働者が会社に相当の債務を負っている場合は,その債務の支払いに充てるべく,退職金を放棄・相殺したとされることがあります。判例によれば,退職金の放棄の意思表示は,「労働者の自由な意思に基づいてなされたと認められる客観的な状況が存在する場合」に限って有効とされています。

6.退職金の不支給・減額措置

懲戒解雇が有効とされる場合に,それに伴う退職金の不支給・減額の適法性については,合法説,違法説(労働者の行為により会社が損害を受けたとしたら,これを立証して損害賠償請求をすべきであり,解雇労働者の退職後の生活を脅かすような不支給等の措置は許されないとする考え方です),限定的合法説(一定の要件を満たせば,不支給・減額が許されるとする考え方)がありますが,判例の多くは,限定的合法説を採っているといわれています。

対応方法

1 まずは弁護士に相談!

退職に際して貴社が採れる手段は,ケースバイケースに存在します。もっとも,従業員にとっても生活の糧となる収入が途絶えることになりますので,安易な措置はトラブルを生み,かえって貴社に混乱とコストの負担をかけることにもなりかねません。
まずは,なるべく早くご相談下さい。相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いものです。
弁護士は,あなたのご事情を伺い,具体的対応策をあなたと一緒に検討し,最善の解決策をアドバイスします。
貴社のケースでは解雇は有効になるのか否か,具体的な対策として打つべき手は何か,証拠として押さえておくべきものは何か等をアドバイスします。

2 証拠の収集

法的措置に対応する場合はもちろん,交渉による解決を目指す場合も,証拠の確保が極めて重要になります。貴社にとって有利な証拠を出来るだけ確保して下さい。

3 労働者との交渉

まずは,法的措置に進む前に,労働者と交渉して,貴社の望む結果(問題社員の退職,解雇,低額の解決金の支払い等より有利な条件での退職等)が得られるようにします。
裁判に訴えられる前の交渉の時点で解決できれば,貴社にとっても次のようなメリットがあります。

①早期に解決できることにより,人的負担が回避できる。

法的手続に進んだ場合,労働者に関係する従業員(同僚・上司)はもちろん,経営者にも時間・労力・精神的負担を割くことを要求されます。この負担が日常業務に加わることで,かなりの負担感となります。交渉で解決することによりかかる人的負担が早期に回避できます。

②労働審判・訴訟等の法的手続に進んだ場合より解決金の水準が低い

一般に法的手続に進む場合に比べ,企業が支払う解決金の金額は低いものとなります。

4 裁判対応

労働者との間で交渉による解決が図れない場合は,労働者は自己の権利の実現を求めて裁判を起こす可能性が高いと言えます。具体的には,賃金仮払い仮処分手続,労働審判手続,訴訟手続などがありますが,労働者が事案に応じて手続を選択して,自己の請求の実現を目指すことになります。貴社としては,かかる労働者の法的請求に適切に対応する必要があります。

労働問題.comの対応

1 経験豊富な弁護士に相談

労働問題は適用される法律が難解で事実関係が極めて複雑であり,また,貴社が採るべき対応策はケースバイケースで決めざるを得ません。貴社独自で調査の上でのご対応が,時に誤った方法であることも多分にございます。
そこで,まず,労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士にご相談下さい。ご相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いのが実際ですので,トラブルが少しでも生じましたら出来るだけ早期にご相談されることをお勧めいたします。
労働問題.COMでは,常に労働問題を専門的に取り扱う経験豊富な弁護士が直接対応させていただいております(原則的に代表弁護士である吉村が対応させて頂きます。)。裁判のリスクを踏まえながら,法律上の問題点を指摘しつつも,抽象的な法律論に終始することなく,貴社が採るべき具体的な対応策を助言いたします。早期のご相談により紛争を未然に防止することが出来た事例が多数ございます。また、その後の交渉・裁判対応においても有利な対応を取ることが出来ます。

2 継続的なご相談・コンサルティング

労使間のトラブルは一時的なものではなく,長期化することがしばしばあります。ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なりますし,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。
労働問題.COMでは,経験豊富な弁護士が,継続的なご相談を受けコンサルティングを行います。初期の段階より貴社にとって有利な対応をアドバイスしていきます。それにより,その後の交渉・法的措置にとって有利な証拠を確保でき,適切な対応をとることで,万全の準備が出来ます。また,継続的に相談が出来ることにより安心して他の日常業務に専念していただくことができます。

3 貴社を代理して労働者(弁護士,労働組合)と交渉いたします。

労働者の対応は様々ですが,貴社へ要求を認めさせるために,様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が弁護士や労働組合を介して,会社に対し各種の請求を行い,交渉を求めることはよくあることです。弁護士や労働組合はこの種事案の交渉のプロですので,貴社独自で臨むことで,あらぬ言質や証拠をとられ,本来了承する必要のない要求まで認めさせられることもしばしばです。貴社独自でのご対応は,一般的には困難であることが多いといえます。
そこで,労働問題.COMでは,労使間の交渉対応に精通した弁護士が,貴社に代わって交渉の対応を致します。具体的には,貴社担当者から詳細なヒアリングを実施し,証拠の収集等の準備を行った上で,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し,適切に交渉することで,貴社にとって有利な結論を,裁判を経ずに勝ち取ることも可能となります。

4 裁判対応

労働者が労働審判,仮処分,訴訟などの裁判を起こしてくる場合が近時急増しています。かかる裁判への対応は法律で訴訟代理権を独占する弁護士のみが対応することができます。
但し,労働問題を適切に対応することができるのは労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士に他なりませんが,労働問題は極めて特殊専門領域であるため,経験実績がない又は乏しい弁護士が殆どである実情があります。
労働問題.COMでは,労働事件を専門分野とし,裁判対応の豊富な経験実績を有する弁護士が常時対応させていただいております。貴社に対し,最善の弁護活動をお約束いたします。

弁護士費用はこちら

参考裁判例

労使慣行の存在を認定して退職金請求権を認めた事例

吉野事件

東京地判平成7.6.12労働判例676-15

(事案の概要)

Xらは,Yにおいては,「退職金規程」(以下,「本件退職金規程」という。)が存在し,同規程は就業規則としての効力を有しており,そうでないとしても,同規程のとおり退職金を支給する労使慣行が確立していたと主張して,退職金の支払いを求めた。

(裁判所の判断)

裁判所は,「被告会社(筆者注:Y)においては,本件退職金規程に基づく退職金支給の慣行とともに,「懲戒その他不都合のかどにより解雇され,または退職したには退職金を支給しない。」(5条)との確立した慣行が成立していたものと認められる。もっとも,右慣行は,従業員の長年の勤続の功労を抹消してしまうほどの不信行為があった場合に退職金を支給しないとの趣旨の限度で有効であると解すべきである。そこで,これを本件についてみると,・・被告会社東京支店長であったAは,亡社長らとの間で,被告会社の経営方針等をめぐって意見が対立し,次第に亡社長らに対し批判的な姿勢を強め,昭和63年2月5日,あえて被告会社と同業種を営む訴外会社を設立し,その実質的経営者となり,被告会社(東京支店)の仕入先,販売先を奪取する行為に出るに及び,その結果被告会社に対し,多大の利益を失わせたものである。訴外会社の設立・経営は,被告会社に秘密裡になされており,その目的は,亡社長らに発覚しない間に,被告会社(東京支店)の取引先を奪うなどし,Aの経営方針に基づく会社運営を軌道に乗せることにあったと認めるのが相当である。X1はAの腹心の部下として,またX2はAの妻として,Aとともに積極的に訴外会社の設立・経営に参加し,被告会社に在職していながら訴外会社の事業活動に従事していたものであって,右両名が被告会社に対してとった行動は極めて背信的というほかはない。したがって,右両名について,本件に顕れた有利な情状を考慮しても,長年の勤続の功労を抹消してしまうほどの不信行為があったという,きであり,前記退職金を受給することはできない。しかしながら,X3及びX4については,訴外会社の設立に関与してはいるが,被告会社在職中に訴外会社の事業活動を行った形跡は認められず,Aらが被告会社を懲戒解雇された昭和63年6月15日からしばらく経た後に被告会社を自己都合退職したものであって,右両名について,長年の功労を抹消してしまうほどの不信行為があったということはできす,前記退職金受給権を失わないというべきである。」と判断した。

(コメント)

本判決は,案として作成・書面化された退職金規程に基づく退職金支給慣行の存在を肯定しましたが,そこにおいては同時に「懲戒その他不都合のかどにより解雇され,または退職した者」には退職金を支給しないとする慣行が成立していたとして,右慣行は,従業員の長年の功労を抹消してしまうほどの不信行為があった場合には退職金を支給しない趣旨の限度で有効と解すべきとしています。

学校法人石川学園事件

横浜地判平成9.11.14労働判例728-44

(事案の概要)

Yは,教育基本法及び学校教育法に基づき学校教育を行うことを目的とし,この目的を達成するためにA洋裁学院(以下,「洋裁学院」という。)とB幼稚園を設置している学校法人であるところ,Xは,Y経営の洋裁学院に教員として勤務していたが,平成8年3月31日をもって洋裁学院を退職した。
Xは,Yの労使間において退職金が支払われてきた根拠は,昭和44年4月以降に洋裁学院に就職した教職員には退職基金財団の運営規則によって支払われ,昭和44年3月以前から在職している教職員には,就職時から通算して支払われる(給付乗率は運営規則を準用)という黙示の合意が存在していたことによるものであり,仮に,黙示の合意が存在しないとしても,労使間に在職期間を通じて退職金が支払われてきた労使慣行があり,右慣行はXとYとの労働契約の一部となっていたものであるから,YはXに対して在職期間を通算して退職金を支払う義務があるとして,未払退職金の支払いを求めた。

(裁判所の判断)

裁判所は,「Yは,平成6年2月14日から実施された洋裁学院の就業規則には退職基金財団の規定内で退職金を支払う旨の規定があるが,実際は,右就業規則実施の前後を通じ,退職基金財団から支払われた退職手当資金に,これと昭和44年3月以前に現実に在職した全期間による給付乗率に置き換えて算定した額との差額をY「持出分」として加算し,これを退職金として支払っているものであって,右基準による退職金の支給はYにおいて確立した慣行になっていたと認められるから,右慣行はYとXとの雇用契約の内容となっていたと認めるのが相当である。」と判示して,Xの請求を認めた。

労使慣行の存在を否定した事例

灘萬・灘萬商事事件

大阪地判昭和54.11.27労働判例334-45

(事案の概要)

訴外A(以下,「A」という。)は,昭和31年8月Y1に,同38年11月7日Y2にそれぞれ入社し,同51年3月4日死亡により退職するまで勤務した。
Aは,昭和51年3月4日死亡し,Aの妻であるX1,子であるX2,X3は相続によって亡Aの一切の権利義務を承継取得した。

(裁判所の判断)

裁判所は,「Y2の就業規則をみてみると,従業員の定義として,3条は,「この規則で従業員とは第28条に定めるところにより採用された会社の業務に従事する者をいう。」と規定し,28条は,「会社は就職を希望する者の中より選考試験に合格した者を従業員として採用する。但し,義務教育終了以上の者とする。」と規定している。そして,右従業員は,通常の場合右就業規則に規定された「第2章勤務」「第3章服務規律」以下の規定の適用を受け,これに従って業務に従事しなければならないものであり,右「勤務」の規定によると,従業員の就業時間は各勤務場所毎に始業・終業・休憩時間を区切って明確に定められ,休日についても特別の日をもって,また,休暇についても年間の日数を限って認める旨それぞれ規定されているのであり,賃金についても賃金規定に従って賃金の支払を受ける旨定めているのである。右就業規則の規定を総合すると,Y2の退職金規定において予定している「従業員」とは,Y2に所定の手続を経て入社し,同社の就業規則に定める勤務時間,休日,服務規律等の規定に従って,所定の各勤務場所においてその業務に従事し,その対価として賃金を得ている者であるということができるところ,・・Aは,Y2に毎日所定時間に出勤して業務に従事するというのではなく,いわば,勤務日,勤務時間などを特に定めることも,右就業規則に拘束されることもなしに事務処理を行なっていたのであり,その職務としては,代表取締役,取締役の地位にあるときも,また,その地位にないときも一貫して経理,経営に関する事務を管理・監督的立場で処理していたということができ,さらに,Aは,Y2の職務のみに専念従事するのではなく,同社以外にもY1をはじめとして数社の経営又は税務相談等に関与し,その報酬を得ていたものということができる。右の諸点を考慮すると,AのY2における地位は,右退職金規定において予定する従業員には当らないことが明らかであり,また,右従業員に準じて右退職金規定の効力を及ぼすべき場合にも当らないというべきである。よって,Aは,Y2の退職金規定の適用を受け得ないから,XらのY2に対する退職金請求は,その余の点について判断するまでもなく失当といわなければならない。」とした。

個別合意の存在を認定して退職金請求権を認めた事例

イオナインターナショナル事件

東京地判平成7.2.27労働判例676-64

(事案の概要)

Yは,天然イオン配合化粧品「イオナ」の製造・販売を主たる業とする株式会社であり,Xらは,Yの元従業員であり,いずれも平成4年9月30日,Yを退職した。
Xらは,各XとY間において,Yは,各Xに対し,規定の退職一時金とは別に,退職功労金及び給与・賞与補償金を,退職日が平成4年9月30日以前の場合は,同年10月20日限りこれを支払う旨の合意(以下,「本件合意」という。)が成立したと主張し,その支払を求めた。

(裁判所の判断)

裁判所は,「(Yの)社長Aは,退職慰労金に関し,Xら(X4を除く)との間で,平成4年7月1日から同月30日までの間に,X1及びX2に対し,Yから各金1000万円,社長Aの退職金から各金1000万円と,平成4年10月分ないし12月分の給与相当額,X3に対し,Yから金1000万円,社長Aの退職金から金500万円と,平成4年10月分ないし12月末分の給与相当額,X4との間で,平成4年7月6日頃から同月30日までの間に,X4に対し,Yから金1000万円,社長Aの退職金から金350万円と,平成4年10月分ないし同5年3月分の紹与相当額の各支払をする旨の合意をなしたものと認めるのが相当である。」として,Xらの請求を認めた。

求人票の記載から退職金請求権を認めた事例

株式会社丸一商店事件

大阪地判平成10.10.30労働判例750-29

(事案の概要)

Xは,平成2年5月31日,Yに雇用され,以後事務員として勤務し,同9年9月末日退職した(退職が解雇によるものか否かは争いがある。)。
Yには退職金規定は存在せず,中小企業退職金共済法に基づく退職金共済制度(以下,「中退金制度」という。)その他の退職金共済制度にも加入していない。
Yは,職業安定所に提出した求人票に,「退職金有り」「退職金共済に加入」と明示して従業員を募集し,Xは,右求人票を見てYに応募し,採用されたものである。
Xは,採用に際しては,右求人票記載の条件と異なった条件を示されたことはなく,XY間では,退職金を支給することが労働契約の内容となっていたというべきであると主張して,Yに対し,解雇予告手当および退職金を請求した。

(裁判所の判断)

裁判所は,「求人票は,求人者が労働条件を明示したうえで求職者の雇用契約締結の申込みを誘引するもので,求職者は,当然に求人票記載の労働条件が雇用契約の内容になることを前提に雇用契約締結の申込みをするのであるから,求人票記載の労働条件は,当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなどの特段の事情がない限り,雇用契約の内容になるものと解すべきである。そして,・・原告(筆者注:X)と被告(筆者注:Y)の間で雇用契約締結に際し別段の合意がされた事実は認められず,(Yの代表者である)Aも退職金を支払うことを前提とした発言をしていることに鑑みると,本件雇用契約においては,求人票記載のとおり,被告が退職金を支払うことが契約の内容になっていたと解される。・・・退職金の額については,求人票に額又は支給基準が明示されているわけではないから,その具体的内容は雇用契約締結時の当事者間の合意に委ねられていると解すべきであり,かかる合意が認められない本件では,退職金の額を確定することは本来は不可能であるというほかはない。しかしながら,本件では,求人票に退職金共済制度に加入することが明示されているのであるから,被告は,退職金共済制度に加入すべき労働契約上の義務を負っていたというべきであり,原告は,被告に対し,少なくとも,仮に被告が退職金共済制度に加入していたとすれば原告が得られたであろう退職金と同額の退職金を請求する労働契約上の権利を有するというべきである。かように解しないと,退職金共済制度に加入することが雇用契約の内容になっていたにもかかわらず,被告がこれを怠ったことによって,事実上退職金の支払を免れることになり,相当でないからである。そして,退職金共済制度としては,明示がない限り,中退金制度を指すものと解すべきである。この点について,被告は,求人票に記載された退職金共済制度は,商工会議所の共済制度を想定したものであると主張する。しかしながら,・・商工会議所の共済制度の方が最下限の退職金額が低く,原告に不利であるとが認められるところ,退職金共済制度に加入しなかったことにつき責任がある被告を利するのは相当でないので,原告に有利な中退金制度を前提とすべきである。・・掛金を自由に設定できる中退金制度においては,現実に加入していなかった以上,加入していた場合の退職金を仮定することは本来は不可能であるが,少なくとも,中小企業退職金共済法における最下限の掛金によって計算した退職金については,被告に支払義務があるということができる。」として,原告の退職金請求を認めた。

(コメント)

本判決は,退職金の請求権について,求人票記載の労働条件は,当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなど特段の事情がないかぎり,雇用契約の内容になるものと解すべきであるとして,求人票記載のとおり,被告が退職金を支払うことが雇用契約の内容になっていたと判断した点に特徴があります。

24時間無料法律相談受付 TEL:0120-3131-45

ご挨拶 / 弁護士紹介 / 安心の費用 / 地図・アクセス / 無料法律相談 / 法律相談の流れ / よくある質問 / 依頼者の声 / お問い合わせ