TEL:0120-3131-45

労働問題の取扱分野の一覧 労働審等

弁護士による労働問題Q&A

所長・弁護士紹介 顧問契約 労働問題 キャンペーン 労働問題トラブル診断シート 依頼者の声 労働問題 労働審判 弁護士

吉村労働再生法律事務所

労働問題に強い弁護士所在地
〒101-0053
東京都千代田区神田美土代町11-12
ニチヨビル6F
受付時間

平日・土曜 9:30~21:00
日曜・祝日 ご要望により対応可能
24時間無料法律相談予約受付

電話番号

TEL 0120-3131-45
FAX 03-3518-6059

休職の後,復職か,退職かの基準は何か?

ご質問

当社には、職種を特に限定しないゼネラリストとして会社に勤務して参った従業員Yがおります。Yは先般より業務外の傷病により休職していましたが,休職期間の満了が近づいたため,傷病が回復したとして復職を申し出ました。ただ,Yは,軽易な業務であれば仕事は出来そうですが,従前の業務は当面は難しいというのが実情です。また,Yの担当医が作成した「復職可」とする診断書を提出しました。
しかし,当社は,産業医が復職に疑問を呈していること,Yが従前の業務に就けないことを理由に,休職期間満了による退職扱いをするつもりです。
このような対応に問題はないでしょうか?

回答

傷病休職は,休職期間中に傷病が治癒すれば復職となり,治癒せずに休職期間が満了すれば自然退職又は解雇となります。そこで,復職の要件たる「治癒」が備わったか否かが問題となります。ご相談者のケースでは,職種を特に限定していないゼネラリストとして雇用契約をしていること,軽易な作業であれば仕事ができること,担当医の診断書があること等から「治癒」が備わったといえる可能性があります。貴社の産業医の意見は絶対的なものではなく,医学的に「治癒」が備わったか否かが問題となります。ですので,貴社の休職期間満了による退職扱いは違法となる可能性があります。今一度、Yから事情を聴取し、産業医と協議されることをおすすめします。

  • 「治癒」とは健康時に行っていた業務を遂行できる能力に戻ること
  • 治癒したか否か判断する際の「通常の業務」とは、ゼネラリストの場合配転可能な他の業務も含むことになり得、職種を特定して採用された労働者はその業務に限られる。

解説

1 ここが問題

傷病休職は,休職期間中に傷病が治癒すれば復職となり,治癒せずに休職期間が満了すれば自然退職又は解雇となる。そこで,多くの争いは,復職の要件たる「治癒」が備わったか否か,に関するものとなります。

2 復職が認められるための「治癒」の意味

(1) 「治癒」とは健康時に行っていた業務を遂行できる能力に戻ること

ほぼ治ったけれども,休職前に行っていた業務を遂行することができないという場合は,「治癒」とは言えないし,復職は権利として認められない可能性があります。

(2) 復帰当初の業務について配慮が要請される場合がある

但し,休職していた労働者が,休職期間満了時には負担の軽い作業しかできないけれども,2~3ヶ月たてば(回復を待てば)休職前の通常の業務を行うことができる蓋然性がある場合,復職を認めずに退職扱いとしたことが無効となることもあります。
エールフランス事件 東京地判S59.1.27労判423-23
独立行政法人N事件 東京地判H16.3.26労判876-56

3 治癒したか否か判断する際の「通常の業務」とは?

(1) ゼネラリストの「通常の業務」とは?

「労働者が,職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合においては,現に就業を命じられた特定の業務について労務提供が十全にはできないとしても,その能力,経験,地位,当該企業の規模・業績,当該企業における労働者の配置・異動の実績及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務提供をすることができ,かつ,その提供を申し出ているならば,なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当である。」(片山組事件 最判H10.4.9労判736-15)。

(2) スペシャリストの「通常の業務」とは?

職種を特定して採用された労働者(スペシャリスト)は業務が特定されているので,その業務を支障なく遂行できる状態になっているかが基準となります。 ただし,職種変更を予定している場合は注意を要する。 「労働者がその職種を特定して雇用された場合において,その労働者が従前の業務を通常の程度に遂行することができなくなった場合には,原則として,労働契約に基づく債務の本旨に従った履行の提供,すなわち特定された職種の職務に応じた労務の提供をすることはできない状況にあるものと解される(もっとも,他に現実に配置可能な部署内氏担当できる業務が存在し,会社の経営上もその業務を担当させることにそれほど問題がないときは,債務の本旨に従った履行の提供が出来ない状況にあるとはいえないものと考えられる)」(カントラ事件 大阪地判H13.11.9労判824-70 大阪高判H14.6.19労判839-47)。

(3) 「通常の業務」の内容が変化している場合

ex SEをはじめ証券会社のディーラー業務のような時代の最先端を行く業務は,その業務に求められる能力も日々変化しています。ただ,休職前に行っていた業務遂行ができるまでに回復しているのならば,会社としては復職を認めるべきです。そして,その従業員に対して一定期間のトレーニングや研修を行い,現在求められる業務に就けるように支援する必要があるといえます。

4 治癒しているかどうかを最終的に判断するのは誰か?

(1) 治癒しているかどうかの判断主体は原則として会社

会社が休職を認めたのであるから,休職事由が消滅したか否かも会社が判断するという建前になります。なお,就業規則と「復職の可否は,診断書により決定する」という規定があればそれに従うことになるが,規定がなければ使用者が判断することになります。
山口赤十字病院 山口地判S41.5.16労民集17-3-637

(2) 診断書が書かれた経緯には注意が必要

治癒の判断については,医師の判断が非常に重要であり,医師の診断なくして復職の可否を判断をすると,いざ裁判になったときに,裁判所からその点について追求される可能性があります。ただ,診断書に「現場復帰可能」「出社可能」と記載されていても,それが通常の業務を行える健康状態まで回復した(治癒した)ということを意味していないことも多くある。

(3) 診断書は重要であるが判断材料の一つにすぎない

実務では,会社は休職期間満了の2週間くらい前に診断書を提出して貰った上で本人と面談し,本当に治癒しているかを,業務を支障なく遂行できるかどうかを確認する必要があります。そして,何か問題があると思ったならば,医師への面談を求め,できれば,その従業員と共に医師を訪ね,十分な話し合いを行うべきです。話し合いのポイントは① 業務内容を十分説明し,その業務が通常程度できるまでに回復しているか否か② 将来的に再発することなく継続的な労務提供を行うことが可能か否かということになります。
なお,労働者が医師への面談を拒絶することは相当ではないと判断されます。
「職務復帰を希望するにあたって,復職の要件である治癒,すなわち,従前の職務を通常の程度行える健康状態に復したかどうかを使用者である債務者が債権者に確認することは当然必要なことであり,しかも,債権者の休職前の勤務状況及び満了日まで達している休職期間を考えると,債務者が,債権者の病状について,その就労の可否の判断の一要素に医師の判断を要求することは,労使間における信義ないし公平の観念に照らし合理的かつ相当な措置である。従って,使用者である債務者は,債権者に対し,医師の診断あるいは医師の意見を聴取することを指示することができるし,債権者としてもこれに応ずる義務があるというべきである」(大建工業事件 大阪地決H15.4.16 労判849-35)

(4) 治癒しているかどうかの証明は労働者の責任

健康で働くという契約を交わしていながら私傷病で休職したのであり,契約に違反して債務不履行な状態にあるからです。

(5) 休職期間満了後の個別対応は会社の自由

休職を延長又は当然退職の手続を進めるか否かは,個別的に行ってよいと解されます。

対応方法

1 まずは弁護士に相談!

休職者への対応を行うために貴社が採れる手段は,ケースバイケースに存在します。もっとも,従業員にとっても生活の糧となる収入が途絶えることになりますので,安易な措置はトラブルを生み,かえって貴社に混乱とコストの負担をかけることにもなりかねません。
まずは,なるべく早くご相談下さい。相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いものです。
弁護士は,あなたのご事情を伺い,具体的対応策をあなたと一緒に検討し,最善の解決策をアドバイスします。
貴社のケースでは解雇は有効になるのか否か,具体的な対策として打つべき手は何か,証拠として押さえておくべきものは何か等をアドバイスします。

2 証拠の収集

法的措置に対応する場合はもちろん,交渉による解決を目指す場合も,証拠の確保が極めて重要になります。貴社にとって有利な証拠を出来るだけ確保して下さい。

3 労働者との交渉

まずは,法的措置に進む前に,労働者と交渉して,貴社の望む結果(問題社員の退職,解雇,低額の解決金の支払い等より有利な条件での退職等)が得られるようにします。
裁判に訴えられる前の交渉の時点で解決できれば,貴社にとっても次のようなメリットがあります。

①早期に解決できることにより,人的負担が回避できる。

法的手続に進んだ場合,労働者に関係する従業員(同僚・上司)はもちろん,経営者にも時間・労力・精神的負担を割くことを要求されます。この負担が日常業務に加わることで,かなりの負担感となります。交渉で解決することによりかかる人的負担が早期に回避できます。

②労働審判・訴訟等の法的手続に進んだ場合より解決金の水準が低い

一般に法的手続に進む場合に比べ,企業が支払う解決金の金額は低いものとなります。

4 裁判対応

労働者との間で交渉による解決が図れない場合は,労働者は自己の権利の実現を求めて裁判を起こす可能性が高いと言えます。具体的には,賃金仮払い仮処分手続,労働審判手続,訴訟手続などがありますが,労働者が事案に応じて手続を選択して,自己の請求の実現を目指すことになります。貴社としては,かかる労働者の法的請求に適切に対応する必要があります。

労働問題.comの対応

1 経験豊富な弁護士に相談

労働問題は適用される法律が難解で事実関係が極めて複雑であり,また,貴社が採るべき対応策はケースバイケースで決めざるを得ません。貴社独自で調査の上でのご対応が,時に誤った方法であることも多分にございます。
そこで,まず,労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士にご相談下さい。ご相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いのが実際ですので,トラブルが少しでも生じましたら出来るだけ早期にご相談されることをお勧めいたします。
労働問題.COMでは,常に労働問題を専門的に取り扱う経験豊富な弁護士が直接対応させていただいております(原則的に代表弁護士である吉村が対応させて頂きます。)。裁判のリスクを踏まえながら,法律上の問題点を指摘しつつも,抽象的な法律論に終始することなく,貴社が採るべき具体的な対応策を助言いたします。早期のご相談により紛争を未然に防止することが出来た事例が多数ございます。また、その後の交渉・裁判対応においても有利な対応を取ることが出来ます。

2 継続的なご相談・コンサルティング

労使間のトラブルは一時的なものではなく,長期化することがしばしばあります。ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なりますし,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。
労働問題.COMでは,経験豊富な弁護士が,継続的なご相談を受けコンサルティングを行います。初期の段階より貴社にとって有利な対応をアドバイスしていきます。それにより,その後の交渉・法的措置にとって有利な証拠を確保でき,適切な対応をとることで,万全の準備が出来ます。また,継続的に相談が出来ることにより安心して他の日常業務に専念していただくことができます。

3 貴社を代理して労働者(弁護士,労働組合)と交渉いたします。

労働者の対応は様々ですが,貴社へ要求を認めさせるために,様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が弁護士や労働組合を介して,会社に対し各種の請求を行い,交渉を求めることはよくあることです。弁護士や労働組合はこの種事案の交渉のプロですので,貴社独自で臨むことで,あらぬ言質や証拠をとられ,本来了承する必要のない要求まで認めさせられることもしばしばです。貴社独自でのご対応は,一般的には困難であることが多いといえます。
そこで,労働問題.COMでは,労使間の交渉対応に精通した弁護士が,貴社に代わって交渉の対応を致します。具体的には,貴社担当者から詳細なヒアリングを実施し,証拠の収集等の準備を行った上で,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し,適切に交渉することで,貴社にとって有利な結論を,裁判を経ずに勝ち取ることも可能となります。

4 裁判対応

労働者が労働審判,仮処分,訴訟などの裁判を起こしてくる場合が近時急増しています。かかる裁判への対応は法律で訴訟代理権を独占する弁護士のみが対応することができます。
但し,労働問題を適切に対応することができるのは労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士に他なりませんが,労働問題は極めて特殊専門領域であるため,経験実績がない又は乏しい弁護士が殆どである実情があります。
労働問題.COMでは,労働事件を専門分野とし,裁判対応の豊富な経験実績を有する弁護士が常時対応させていただいております。貴社に対し,最善の弁護活動をお約束いたします。

弁護士費用はこちら

参考裁判例

片山組事件

最高裁平成10年4月9日 労働判例738号6頁

(事案の概要)

建築工事現場で長年にわたり現場監督業務に従事してきたXが、バセドウ病のため現場作業に従事できないと申し出たところ、Y会社が「自宅治療命令」を発し、復帰までの約四カ月間を欠勤扱いとして、賃金を支給せず、冬期一時金を減額したため、組合委員長であるXが、右業務命令を不当労働行為に当たり無効とし、賃金等の支払いを請求したものである。

(裁判所の判断)

上告人(筆者注:X)は、被上告人(筆者注:Y)に雇用されて以来二一年以上にわたり建築工事現場における現場監督業務に従事してきたものであるが、労働契約上その職種や業務内容が現場監督業務に限定されていたとは認定されておらず、また、上告人提出の病状説明書の記載に誇張がみられるとしても、本件自宅治療命令を受けた当時、事務作業に係る労務の提供は可能であり、かつ、その提供を申し出ていたというべきである。そうすると、右事実から直ちに上告人が債務の本旨に従った労務の提供をしなかったものと断定することはできず、上告人の能力、経験、地位、被上告人の規模、業種、被上告人における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして上告人が配置される現実的可能性があると認められる業務が他にあったかどうかを検討すべきである。

24時間無料法律相談受付 TEL:0120-3131-45

ご挨拶 / 弁護士紹介 / 安心の費用 / 地図・アクセス / 無料法律相談 / 法律相談の流れ / よくある質問 / 依頼者の声 / お問い合わせ