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事業所の閉鎖を理由に解雇できるか?

ご質問

当社は,経営不振に陥り多額の債務を抱え事業継続が不可能となり,事業所Aを閉鎖することとしました。事業所Aの閉鎖に伴い事業所Aに勤務する従業員を解雇したいのですが,認められるのでしょうか?

回答

 事業所Aを閉鎖するかどうかは経営判断として自由に行えますが,事業所Aが閉鎖され,その業務が消滅することになれば,事業所Aに勤務している従業員の多くは,余剰人員になります。ただし,この余剰人員の解雇が自由にできるわけではなく,基本的には整理解雇の要件を検討する必要があります。
そして,原則的にはA事業所を含む会社全体の人員を対象として整理解雇を検討する必要があり,A事業所の社員だけを優先的に整理対象とすることは出来ません。
 ただし,①会社の財務状況からA事業所の社員を他の事業所への配転させる費用を拠出することが困難である場合,②A事業所の社員との雇用契約がA事業所という勤務地を特定した雇用契約である場合やA事業所特有の職種・業務を行うことを特定した雇用契約である場合で,企業の他の事業所へ配置転換が不可能又は困難な場合は,A事業所の社員を他の事業所へ配置転換するなどの検討を介さずに,優先的に整理対象とすることも許される場合もあります。
 もっとも,一般的には,整理解雇の前に整理対象者に対して退職勧奨を行います。退職金の上乗せや丁寧な説明によって合意による退職により整理解雇をせずに解決した方がよいでしょう。

  • 特定の事業所の閉鎖に伴い余剰人員がでる場合であっても,原則的には企業全体の人員を対象として整理解雇を検討する必要がある。
  • 会社の財務状況から他の事業所への配転させる費用を拠出することが困難である場合まで閉鎖する事業所の社員の雇用維持を優先させる必要は無い。
  • 閉鎖する事業所の社員が勤務地特定の雇用契約である場合は,他の事業所への配転をせずに整理対象とすることも可能。閉鎖する事業所特有の業務や職種を特定した雇用契約である場合でも同様。
  • 整理解雇を行う前に,退職金の上乗せを行うなどして退職勧奨を行う。

解説

1 原則的に整理解雇一般の要件を検討する必要がある

 まず,事業所を閉鎖することは企業が本来自由に決定できます。そして,事業所が閉鎖され,その事業所の業務が消滅することになれば,その事業所に勤務している従業員の多くは,余剰人員になります。

 しかし,この余剰人員の解雇が自由にできるわけではありません。原則的には,全事業所の社員を対象とした整理解雇を検討する必要があります。すなわち,整理人員の対象の選定に際しては,閉鎖事業所の社員を常に優先して選定できる訳ではなく,全事業所の社員を対象に整理対象者を選定する必要があります。

2 会社の財務状況が悪化している場合

 ところが,会社の財務状況が相当悪化しており,閉鎖する事業所の社員を他の事業所へ異動させる費用を負担することが困難な場合まで,閉鎖事業所の社員を他の事業所の社員と同列に扱う必要はありません。あくまでも会社の事業存続が最優先目的となりますので,その目的実現を困難にしてまで閉鎖事業所の社員を他の事業所へ異動させて雇用を維持することまでは求められないからです。

 例えば,東京本社,大阪支店,博多支店を有する会社で,博多支店を閉鎖する場合,会社に財務的な体力が無いにもかかわらず,博多支店の社員を東京や大阪へ異動させてまで博多支店の社員の雇用を維持することまでは求められません。博多支店からの異動には,生活拠点の移転,転居費用,単身赴任等の手当など多くの費用がかかるのが一般だからです。

 ただし,異動コストを拠出するだけの財務力がある段階では,原則どおり東京本社,大阪支店,博多支店の全社員を対象に整理対象を選別する必要があります。もっとも,実務的には博多支店から東京・大阪への異動はコストや負担がかかりますので,上乗せ退職金を提示した上で退職勧奨が行われるのが一般です。

3 業務・職種や勤務地が特定されている場合

 特定の事業所で採用され,その事業所を勤務地として特定して雇用契約を締結している場合や,その事業所特有の業務や職種に特定して雇用契約を締結している社員の場合,他の事業所への配転は本来予定されていません。よって,その事業所の閉鎖に伴い雇用契約を解消することが理論的です。

 ただし,このように職種や勤務地が特定されている場合であっても,配転の可能性を検討することを指摘する裁判例もあります。よって,当然に整理解雇が認められると考えるのはリスクが伴います。

 そこで,退職金の上乗せ等により退職勧奨や再就職支援を行うなどの丁寧な対応が必要になると思われます。そのような丁寧な対応が整理解雇の有効性を補強することになるからです。

対応方法

1 事実関係の確認

以下の事実を確認する必要があります。

□ 閉鎖する事業所の人員の雇用契約内容
□ 他の事業所への配転可能性(業務内容やコスト,社員の意向)
□ 閉鎖する事業所の人員の意向
□ その他,整理解雇一般の確認事項

2 証拠の確認

以下の証拠を収集・確認する必要があります。

□ 雇用契約書
□ 報告書(配転可能性やコストの調査結果)
□ 面談記録(社員の意向)
□ その他,整理解雇一般の証拠

3 方針の決定・社員への説明

企業としての方針を決定し,説明会や個別面談で社員に説明します。労働組合がある場合は労組に対しても説明を行います。

4 退職勧奨

整理対象者に対しては,面談の上,退職勧奨を行います。退職金の上乗せや再就職支援を提示すると丁寧です。

5 整理解雇の実施

退職勧奨に応じない整理対象者は最終的には整理解雇を行います。

参考裁判例

事業所の閉鎖を理由とした解雇が有効と判断された事例

東洋水産川崎工場事件

横浜地方裁判所川崎支部判決 平成14年12月27日 労働経済速報1832号3頁

労働者XらはY社の工場に期間の定めなく雇用されていた従業員である。Y社は工場の老朽化による安全面での問題や,品質管理上の問題,環境悪化等の理由から,工場閉鎖を決めた。工場閉鎖に伴い,この工場に勤務する従業員XらにはY社の企業グループ内で可能な限り就労先を斡旋すると告げたが,Xらはこれを拒否し,解雇された。このことからXらはYに対し,雇用契約上の地位確認と賃金の仮払いを請求した事案である。本件解雇において,工場閉鎖を決定したY社の経営判断には合理性があり,解雇回避努力も尽くされていたといえる。また,Y社は労働組合と団体交渉を行い、事前に解雇理由等の説明を尽くし,対応も不当なものではない。加えて,Y社は割増退職金を支払うこと,転居費用を負担すること,再就職先の斡旋に協力する等,告げていた。以上のことから,Y社の行った解雇は,解雇権を濫用したとは認められず,解雇有効と判断された。

シンガポール・デベロップメント銀行事件

大阪地判平12.6.23労判786-16

外資系銀行の国内における二つの支店のうち、一方の支店の閉鎖に伴う従業員の整理解雇につき、他方支店において希望退職者を募集しなければ解雇回避努力義務を尽くしたことにはならない等とする原告らの主張が退けられ、整理解雇の四要件を満たした有効なものとして、地位確認等を求めた原告らの請求が棄却された例

事業所の閉鎖を理由とした解雇が無効と判断された事例

国際信販事件

東京地方裁判所判決 平成14年7月9日 労働経済速報1815号17頁

Y社は個品割賦事業部と旅行事業部から成り立っている。労働者Xは,Y社の旅行事業部に勤務していた。経営上の理由から,Y社は旅行事業部の廃止を決定し,それに伴い旅行事業部に勤務する従業員を会社都合で解雇する旨を告げた。そこで,Xは会社Yに対し雇用契約上の地位確認を請求した事案である。

本件解雇において,Y社に旅行事業部を廃止すべき高度な必要性は見られず,仮に廃止すべき理由があったとしても,Xを他の部門で吸収する余地がなかったとも言えない。また,Y社はXの配転可能性の有無を検討したことはなく,Xに配置転換を提案したこともなかったことから,Y社が解雇回避努力を尽くしたとはいえない。加えて,Y社はX及びXの所属する労働組合との間で十分な説明や協議もなされなかった。Xが正社員でなく時給社員であることを考慮しても,本件解雇は客観的合理性を欠くものであるから,解雇権の濫用として解雇無効と判断された。

東洋印刷事件

東京地方裁判所判決 平成14年9月30日判決 労働経済速報1819号25頁

Y社は印刷加工一般を請け負う会社であり,労働者Xら4名はY社の電算室に勤務していた。Y社は印刷の受注量が減る等,経営上の理由により,Xらを解雇する意思表示をした。そこで,Xらは雇用契約上の地位確認を請求し提起した事案である。

本件解雇においてY社は長期構造的な経営不振から,対策を講じる必要はあるものの,さほどには切迫していなかった。Xらの所属する電算部門が,不採算部門であり対策を立てる必要性は認めるものの,Xらを他の部門に配転する等,解雇を回避する努力が尽くされなかった。よって,本件解雇は権利濫用に該当し,解雇無効と認められた。

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル事件

那覇地判昭60.3.20労判455-71

営業所を閉鎖するか否かは企業の経営の自由に属するとされた例
沖縄営業所を閉鎖し、その業務をツーリスト会社に委ねることとするとともに、右営業所の従業員を全員解雇し、右ツーリスト会社に移籍させるものとしたことにつき、右解雇は、解雇回避努力、人選の合理性、組合との協議義務のいずれにも反するもので、無効であるとされた例

 

 

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