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ユニオン・ショップ解雇ができる?

ご質問

当社は、貨物輸送を業とする株式会社ですが、Z組合と管理職等の一定範囲の従業員をお除く者はZ組合員とするとの、いわゆるユニオン・ショップ協定を締結しています。同協定中には、「会社は、Z組合を脱退しまたは除名された者を解雇する。」との規定が存します。
この度、当社の従業員Yが組合費を着服・横領した疑いがあるとして、Z組合から除名されました。また、当社としても組合とは別に上記着服・横領を調査したところ、極めて疑わしい状況が存することを確認しました。
そこで、当社は、Yを上記ユニオン・ショップ協定に基づいて、解雇致しました。
しかし、Yは、上記着服・横領をあくまでも行っていないと主張し、上記解雇を争う姿勢を有しております。当社としては、ユニオン・ショップ協定に基づいて解雇しているので有効であると考えておりますが、法的にはいかがでしょうか?

回答

貴社はYが上記着服・横領に関与したことを理由にZ組合から除名処分されているため,ユニオン・ショップ協定所定の解雇要件を充たすとお考えのようです。
しかしながら,労働組合の除名処分が無効な場合は,使用者にユニオン・ショップ協定上の解雇義務は発生しないので,無効な除名をされた者に対するユニオン・ショップ解雇は客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当なものとは言えないとして無効となることは確定した裁判例の示すとおりです(日本食塩製造事件最高裁二小判昭50・4・25)。
この点,前記のとおりYが上記着服・横領に関与した事実は単に疑いがあると言えるに過ぎず、客観的資料に基づいて確実に事実が存するとは言いがたいのが現状です。したたって、Z組合の除名処分も無効となる可能性が高いと言わざるを得ません。
よって、本件のユニオン・ショップ協定に基づく解雇も無効となる可能性が高いと考えます。

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  • 労働組合の除名処分が無効な場合は,ユニオン・ショップ解雇は客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当なものとは言えないとして無効となる。
  • 会社としては、ユ・シ解雇の前に、組合の処分の適否を慎重に確認する必要がある。

解説

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対応方法

1 まずは弁護士に相談!

問題のある社員に辞めてもらうために貴社が採れる手段は,ケースバイケースですが,退職勧奨,普通解雇,懲戒処分などが挙げられます。もっとも,従業員にとっても生活の糧となる収入が途絶えることになりますので,安易な措置はトラブルを生み,かえって貴社に混乱とコストの負担をかけることにもなりかねません。
まずは,なるべく早くご相談下さい。相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いものです。
弁護士は,あなたのご事情を伺い,具体的対応策をあなたと一緒に検討し,最善の解決策をアドバイスします。
貴社のケースでは解雇は有効になるのか否か,具体的な対策として打つべき手は何か,証拠として押さえておくべきものは何か等をアドバイスします。

2 証拠の収集

法的措置に対応する場合はもちろん,交渉による解決を目指す場合も,証拠の確保が極めて重要になります。貴社にとって有利な証拠を出来るだけ確保して下さい。

3 労働者との交渉

まずは,法的措置に進む前に,労働者と交渉して,貴社の望む結果(問題社員の退職,解雇,低額の解決金の支払い等より有利な条件での退職等)が得られるようにします。 裁判に訴えられる前の交渉の時点で解決できれば,貴社にとっても次のようなメリットがあります。

①早期に解決できることにより,人的負担が回避できる。

法的手続に進んだ場合,労働者に関係する従業員(同僚・上司)はもちろん,経営者にも時間・労力・精神的負担を割くことを要求されます。この負担が日常業務に加わることで,かなりの負担感となります。交渉で解決することによりかかる人的負担が早期に回避できます。

②労働審判・訴訟等の法的手続に進んだ場合より解決金の水準が低い

一般に法的手続に進む場合に比べ,企業が支払う解決金の金額は低いものとなります。

4 裁判対応

労働者との間で交渉による解決が図れない場合は,労働者は自己の権利の実現を求めて裁判を起こす可能性が高いと言えます。具体的には,賃金仮払い仮処分手続,労働審判手続,訴訟手続などがありますが,労働者が事案に応じて手続を選択して,自己の請求の実現を目指すことになります。貴社としては,かかる労働者の法的請求に適切に対応する必要があります。

労働問題.comの対応

1 経験豊富な弁護士に相談

労働問題は適用される法律が難解で事実関係が極めて複雑であり,また,貴社が採るべき対応策はケースバイケースで決めざるを得ません。貴社独自で調査の上でのご対応が,時に誤った方法であることも多分にございます。
そこで,まず,労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士にご相談下さい。ご相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いのが実際ですので,トラブルが少しでも生じましたら出来るだけ早期にご相談されることをお勧めいたします。
労働問題.COMでは,常に労働問題を専門的に取り扱う経験豊富な弁護士が直接対応させていただいております(原則的に代表弁護士である吉村が対応させて頂きます。)。裁判のリスクを踏まえながら,法律上の問題点を指摘しつつも,抽象的な法律論に終始することなく,貴社が採るべき具体的な対応策を助言いたします。早期のご相談により紛争を未然に防止することが出来た事例が多数ございます。また、その後の交渉・裁判対応においても有利な対応を取ることが出来ます。

2 継続的なご相談・コンサルティング

労使間のトラブルは一時的なものではなく,長期化することがしばしばあります。ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なりますし,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。
労働問題.COMでは,経験豊富な弁護士が,継続的なご相談を受けコンサルティングを行います。初期の段階より貴社にとって有利な対応をアドバイスしていきます。それにより,その後の交渉・法的措置にとって有利な証拠を確保でき,適切な対応をとることで,万全の準備が出来ます。また,継続的に相談が出来ることにより安心して他の日常業務に専念していただくことができます。

3 貴社を代理して労働者(弁護士,労働組合)と交渉いたします。

労働者の対応は様々ですが,貴社へ要求を認めさせるために,様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が弁護士や労働組合を介して,会社に対し各種の請求を行い,交渉を求めることはよくあることです。弁護士や労働組合はこの種事案の交渉のプロですので,貴社独自で臨むことで,あらぬ言質や証拠をとられ,本来了承する必要のない要求まで認めさせられることもしばしばです。貴社独自でのご対応は,一般的には困難であることが多いといえます。
そこで,労働問題.COMでは,労使間の交渉対応に精通した弁護士が,貴社に代わって交渉の対応を致します。具体的には,貴社担当者から詳細なヒアリングを実施し,証拠の収集等の準備を行った上で,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し,適切に交渉することで,貴社にとって有利な結論を,裁判を経ずに勝ち取ることも可能となります。

4 裁判対応

労働者が労働審判,仮処分,訴訟などの裁判を起こしてくる場合が近時急増しています。かかる裁判への対応は法律で訴訟代理権を独占する弁護士のみが対応することができます。 但し,労働問題を適切に対応することができるのは労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士に他なりませんが,労働問題は極めて特殊専門領域であるため,経験実績がない又は乏しい弁護士が殆どである実情があります。
労働問題.COMでは,労働事件を専門分野とし,裁判対応の豊富な経験実績を有する弁護士が常時対応させていただいております。貴社に対し,最善の弁護活動をお約束いたします。

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参考裁判例

ユ・シ解雇が無効と判断された事例

日本食塩製造事件

最判昭和50年4月25日労働判例227号32頁

〈事案の概要〉

YとA労働組合A支部(以下「A組合」)との間では,新機械の導入に関する事前協議を巡り昭和38年1月中旬ころから対立が生じていたところ,A組合執行委員であったⅩらが,ピケによりY役員の入門を阻止した。そこでYは,Ⅹらが職場規律を乱したものとして,同年7月29日,Ⅹを懲戒解雇とするとともに,他の組合員らに対し出勤停止,減給,遥責等の処分を行った。これに対しA組合は,Yの上記処分を不当労働行為として,同年10月30日,神奈川県地方労働委員会へ救済を申し立てたところ,昭和40年8月2日,同委員会においてYとAとの間でⅩへの懲戒解雇や他の組合員への懲戒処分を撤回するとともに,Ⅹの退職を内容とする和解が成立した。ところがⅩは,上記和解に従わず退職を拒否したことから,8月21日,A組合はⅩを離籍(除名)処分とし,同日Yにその旨を通知した。そこでYは,A組合とのユニオンショップ協定に基づきⅩを解雇した。これに対し,XはA組合の除名及びYの解雇の無効を主張して提訴した。

〈判断のポイント〉

「思うに,使用者の解雇権の行使も,それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には,権利の濫用として無効になると解するのが相当である。...労働組合から除名された労働者に対しユニオン・ショップ協定に基づく労働組合に対する義務の履行として使用者が行う解雇は,ユニオン・ショップ協定によって使用者に解雇義務が発生している場合にかぎり,客観的に合理的な理由があり社会通念上相当なものとして是認することができるのであり,右除名が無効な場合には,前記のように使用者に解雇義務が生じないから,かかる場合には,客観的に合理的な理由を欠き社会的に相当なものとして是認することはできず,他に解雇の合理性を裏づける特段の事由がないかぎり,解雇権の濫用として無効であるといわなければならない。
本件についてこれをみるに,...離籍(除名)の効力いかんによっては,本件解雇を無効と判断すべき場合があるものといわなければならない。しかるに,Ⅹが,本件離籍は無効であり,したがって右ユニオン・ショップ条項に基づいてした解雇は無効であると主張したのに対し,原審が,本件離籍(除名)の効力について審理判断することなく,除名の有効無効はユニオン・ショップ協定に基づく解雇の効力になんら影響を及ぼすものではないとして,Ⅹの主張を排斥したのは,ユニオン・ショップ協定に基づく解雇の法理の解釈を誤り,そのため審理不尽におちいり,ひいては理由不備の違法をおかしたものというべきである。したがって,論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。」

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