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吉村労働再生法律事務所

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法定休日休暇の取得を理由にマイナス査定できる?

ご質問

当社では.毎年4月の賃上げに際して勤怠査定を行っています。遅刻・早退や欠勤についてはマイナス査定をしても問題はないと思いますが、労基法や育児・介護休業法に定められている休暇や短時間勤務についてもマイナス査定の対象としてきましたが、問題はあるでしょうか。

回答

賃上げに際し、年休取得に対するマイナス査定は基本的に許されないと考えた方がよいでしょう。育児・介護休業法上の休業等に対するマイナス査定は,その休業等それ自体をもってマイナス査定をすることは許されませんが、実際の休業期間・日数に応じてマイナス査定をすることは許されると解されます。ただ、育児・介護休業を利用することの事実上の支障とならないように配慮する必要があります。

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  • 賃上げに際し、年休取得に対するマイナス査定は基本的に許されない。
  • 育児・介護休業法上の休業等に対するマイナス査定は,実際の休業期間・日数に応じてマイナス査定をすることは可能。

解説

1 年休取得と不利益取扱

(1)労基法の定め

「使用者は......有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」(労基法 昭和62年改正付則 136条)。

(2)現在の判例の状況

① 年休取得日を欠勤扱いとするような不利益取扱は無効である。

【エス・ウント・エー事件(最判平4.2.18労判609号)】

年次有給休暇の期間について一定の貸金の支払を義務づけている労基法39条4項の趣旨からすれば、賞与の計算に際して年休取得日を欠勤として扱い賞与を減額することは、許されないとした。

【日本シェーリング事件(最判平元.12.14労判553号)】

年休取得日を昇給上の要件たる出勤率の算定に当たり欠勤日として扱ったケースで、これを違法としたものもある。

② 不利益取扱の趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、年次有給休暇の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、年休権の行使を抑制し、ひいては年休権保障の趣旨を失わせると認められる場合は、そのような不利益取扱は公序に違反し無効である(沼津交通事件・最高裁判決平5.6.25労判636号)。

すなわち、当該査定の制度により職場の大多数が年休利用を差し控えるような不利益性の高い場合はそのこと自体で無効とされるが、この沼津交通事件のように、年休の取得を一般的に抑制する目的がなく、なおかつ減額幅が相対的に大きいものでなければ、なお許されるということである。
ただし、この判決には批判も多い(菅野和夫著「労働法」第8版315頁)。

2 産休・育介休取得と不利益取扱

(1)【日本シェーリング事件(最判平元.12.14労判553号)】

前年の稼働率が80%以下の者を賃上げ対象者から除外する旨の協定条項に基づいて、労基法・労組法上の権利行使に基づく不就労を欠勤扱いして、80%以下になるとして賃上げ対象から除外した事案において、「当該制度が、労基法又は労組法上の権利を行使したことにより経済的利益を得られないこととすることによって権利の行使を抑制し、ひいては右各法が労働者に各権利を保障した趣旨を失わせるものと認められるときは、......公序に反するものとして無効になる」と判示した。その理由として、
「本件80パーセント条項に該当した者につき除外される賃金引上げにはベースアップ分も含まれているのであり、しかも、上告会社における貸金引上げ額は、毎年前年度の基本給額を基礎として決められるから、賃金引上げ対象者から除外されていったん生じた不利益は後続年度の貸金において残存し、ひいては退職金額にも影響するものと考えられるのであり同条項に該当した者の受ける経済的不利益は大きなものである」。
「そして、本件80パーセント条項において基準となっている80パーセントという稼働率の数値からみて、従業員が、産前産後の休業、労働災害による休業などの比較的長期間の不就労を余儀なくされたような場合は、それだけで、あるいはそれに加えてわずかの日数の年次有給休暇をとるだけで同条項に該当し、翌年度の賃金引上げ対象者から除外されることも十分考えられるのである」。 「こうみると、本件80パーセント条項の制度の下では、一般的に労基法又は労組法上の権利の行使をなるべく差し控えようとする機運を生じさせるものと考えられ、その権利行使に対する事実上の抑制力は相当強いものであるとみなければならない」。

(2)【代々木ゼミナール事件最判(平15.12.4労判862)】

支給対象期間中の出勤率が90%以上であることを賞与の支給要件とする条項に関して、使用者が出勤率の算定に当たり、8週間の産後休業や育児時間(勤務時間短締)を欠勤日数に参入したため、賞与の支給を受けられなかった女性労働者の賞与請求をした事案。
「①本件90%条項は、賞与算定に当たり、単に労務が提供されなかった産前産後休業期間及び勤務時間短縮措置による短縮時間分に対応する賞与の減額を行うというにとどまるものではなく、産前産後休業を取得するなどした従業員に対し、産前産後休業期間等を欠勤日数に含めて算定した出勤率が90%未満の場合には、一切賞与が支給されないという不利益を被らせるものであり、②上告人(会社)においては、従業員の年間総収入額に占める賞与の比重は相当大きく、本件90%条項に該当しないことにより賞与が支給されない者の受ける経済的不利益は大きなものである上、③本件90%条項において基準とされている90%という出勤率の数値からみて、従業員が産前産後休業を取得し、又は勤務時間短縮措置を受けた場合には、それだけで同条項に該当し、賞与の支給を受けられなくなる可能性が高いというのであるから、本件90%条項の制度の下では、勤務を継続しながら出産し、又は育児のための勤務時間短縮措置を請求することを差し控えようとする機運を生じさせるものと考えられ、上記権利等の行使に対する事実上の抑止力は相当強いものとみるのが相当である」。

対応方法

1 まずは弁護士に相談!

賃金に関し、貴社が採れる手段は,ケースバイケースに存在します。もっとも,従業員にとっても勤務条件に関わることになりますので,安易な措置はトラブルを生み,かえって貴社に混乱とコストの負担をかけることにもなりかねません。
まずは,なるべく早くご相談下さい。相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いものです。
弁護士は,あなたのご事情を伺い,具体的対応策をあなたと一緒に検討し,最善の解決策をアドバイスします。
貴社のケースでは解雇は有効になるのか否か,具体的な対策として打つべき手は何か,証拠として押さえておくべきものは何か等をアドバイスします。

2 証拠の収集

法的措置に対応する場合はもちろん,交渉による解決を目指す場合も,証拠の確保が極めて重要になります。貴社にとって有利な証拠を出来るだけ確保して下さい。

3 労働者との交渉

まずは,法的措置に進む前に,労働者と交渉して,貴社の望む結果(残業代の減額等)が得られるようにします。
裁判に訴えられる前の交渉の時点で解決できれば,貴社にとっても次のようなメリットがあります。

①早期に解決できることにより,人的負担が回避できる。

法的手続に進んだ場合,労働者に関係する従業員(同僚・上司)はもちろん,経営者にも時間・労力・精神的負担を割くことを要求されます。この負担が日常業務に加わることで,かなりの負担感となります。交渉で解決することによりかかる人的負担が早期に回避できます。

②労働審判・訴訟等の法的手続に進んだ場合より解決金の水準が低い

一般に法的手続に進む場合に比べ,企業が支払う解決金の金額は低いものとなります。

4 裁判対応

労働者との間で交渉による解決が図れない場合は,労働者は自己の権利の実現を求めて裁判を起こす可能性が高いと言えます。具体的には,賃金仮払い仮処分手続,労働審判手続,訴訟手続などがありますが,労働者が事案に応じて手続を選択して,自己の請求の実現を目指すことになります。貴社としては,かかる労働者の法的請求に適切に対応する必要があります。

労働問題.comの対応

1 経験豊富な弁護士に相談

労働問題は適用される法律が難解で事実関係が極めて複雑であり,また,貴社が採るべき対応策はケースバイケースで決めざるを得ません。貴社独自で調査の上でのご対応が,時に誤った方法であることも多分にございます。
そこで,まず,労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士にご相談下さい。ご相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いのが実際ですので,トラブルが少しでも生じましたら出来るだけ早期にご相談されることをお勧めいたします。
労働問題.COMでは,常に労働問題を専門的に取り扱う経験豊富な弁護士が直接対応させていただいております(原則的に代表弁護士である吉村が対応させて頂きます。)。裁判のリスクを踏まえながら,法律上の問題点を指摘しつつも,抽象的な法律論に終始することなく,貴社が採るべき具体的な対応策を助言いたします。早期のご相談により紛争を未然に防止することが出来た事例が多数ございます。また、その後の交渉・裁判対応においても有利な対応を取ることが出来ます。

2 継続的なご相談・コンサルティング

労使間のトラブルは一時的なものではなく,長期化することがしばしばあります。ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なりますし,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。
労働問題.COMでは,経験豊富な弁護士が,継続的なご相談を受けコンサルティングを行います。初期の段階より貴社にとって有利な対応をアドバイスしていきます。それにより,その後の交渉・法的措置にとって有利な証拠を確保でき,適切な対応をとることで,万全の準備が出来ます。また,継続的に相談が出来ることにより安心して他の日常業務に専念していただくことができます。

3 貴社を代理して労働者(弁護士,労働組合)と交渉いたします。

労働者の対応は様々ですが,貴社へ要求を認めさせるために,様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が弁護士や労働組合を介して,会社に対し各種の請求を行い,交渉を求めることはよくあることです。弁護士や労働組合はこの種事案の交渉のプロですので,貴社独自で臨むことで,あらぬ言質や証拠をとられ,本来了承する必要のない要求まで認めさせられることもしばしばです。貴社独自でのご対応は,一般的には困難であることが多いといえます。
そこで,労働問題.COMでは,労使間の交渉対応に精通した弁護士が,貴社に代わって交渉の対応を致します。具体的には,貴社担当者から詳細なヒアリングを実施し,証拠の収集等の準備を行った上で,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し,適切に交渉することで,貴社にとって有利な結論を,裁判を経ずに勝ち取ることも可能となります。

4 裁判対応

労働者が労働審判,仮処分,訴訟などの裁判を起こしてくる場合が近時急増しています。かかる裁判への対応は法律で訴訟代理権を独占する弁護士のみが対応することができます。
但し,労働問題を適切に対応することができるのは労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士に他なりませんが,労働問題は極めて特殊専門領域であるため,経験実績がない又は乏しい弁護士が殆どである実情があります。
労働問題.COMでは,労働事件を専門分野とし,裁判対応の豊富な経験実績を有する弁護士が常時対応させていただいております。貴社に対し,最善の弁護活動をお約束いたします。

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